SIerから社内SEへ大移動時代が来る!情シスへの転職なら2025年まで!
え、IT業界って好調なのにエンジニアの移動が始まるの?
なぜ、SIerから社内SEへ大移動が始まると言えるのか、結論をさきにお伝えします。
結論:大移動が始める理由
① DXを追い風に内製の優位性が高まっているため
② SIerがビジネス戦略を個別最適からアセットベースにシフトしているため
③ 日本の雇用状況が変化するため
3つの理由で社内SEの雇用は拡大し、実は直近ではIT業界より社内SEの方が増加しているんです!
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なぜ、大移動が始まるのか?
繰り返しになりますが、SIerから事業会社の社内SEへの人材の移動が始まると考えられる理由はつぎの3点に集約されます。
結論:大移動が始める理由
① DX推進を追い風に内製の優位性が高まっているため
② SIerがビジネス戦略を個別最適からアセットベースにシフトしているため
③ 日本の雇用状況が変化するため
① DX推進を追い風に内製の優位性が高まっているため
DX(デジタルトランスフォーメーション)を追い風にして、システム開発や導入を自社でコントロールしようとする流れがあります。
「ビジネスにおけるデジタル戦略=事業戦略そのもの」と考える会社が増えてきたのに、事業戦略を外部へまるっと委託する選択は合理的ではないためです。
そのためにはシステム開発や導入をSIerに委託するのではなく、社内でITエンジニアを用意する必要があります。
実際に、リクルートが毎年発信する『2023年 転職市場の展望』では以下の業界でITエンジニアの求人が活発であること、あるいはその重要性について言及されています。これはリクルートエージェントの転職データやコンサルタントの知見に基づいています。
エンジニア採用に言及された業界
① 自動車(MaaSとコネクテッド領域)
② 総合電機・半導体・電子部品
③ 消費財・総合商社(EC関連領域)
④ 人材・教育(サービス開発)
⑤ ベンチャー領域(AI・データサイエンス)
この傾向は昨年も同じでした。1年前の『2022年 転職市場の展望』でも同様に非IT企業のITエンジニア採用について、総合商社、証券、生保・損保などで言及されています。
② SIerがビジネス戦略を個別最適からアセットベースにシフトしているため
システムを供給するSIer側のビジネス戦略にも変化が見られます。
一言で表すと「顧客単位にITエンジニアを雇うことは難しくなっており、グローバルで共通するシステムを作っていく」ということです。
例えば、SIerの国内最大手であるNTTデータは2022年3月期の有価証券報告書で5つの戦略を説明しています。その中の1つに「アセットベースのビジネスモデルへの進化」があります。
これは従来型の顧客独自の作り込みをベースとしたSIから、グローバルで業界・業務ごとの知見やソフトウェア(既存品を含む)の組み合わせを提案するSIへのシフトを指していると考えられます。その背景として、以下のとおりNTTデータ 執行役員の冨安 寛氏が説明されています。
個別顧客、一点ものの開発は、プロジェクトごとに大量の人材を抱える必要がある。
BUSINESS COMMUNICATION(https://www.bcm.co.jp/site/2022/08/ntt-data/2208-ntt-data-01-01-1.pdf)
従来型 SI の業態のまま売り上げを拡大するためには、大量の人材を抱えるプロジェクトを数多く実施する必要があるが、昨今の人材獲得競争の中では現実的ではない。
株式会社 NTT データ
技術革新統括本部 執行役員 技術革新統括本部長 冨安 寛氏
③ 日本の雇用状況が変化するため
2021年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は70歳まで就業機会を確保するよう努めることが義務付けられました。
かつて定年は60歳でしたが、これが引き延ばされ現在60〜64歳の雇用率は80%を超えています。つまり、改正高年齢者雇用安定法の施行により70歳までの雇用率は大幅に高まることが予想されます。
その結果、団塊ジュニア世代を中心に中高年層に雇用が偏るため、今後企業は早期退職希望者の募集を加速し、これが2つの効果を生むと予想されます。
早期退職希望者の募集拡大の効果
① 削減した人件費がデジタル人材獲得に向けられる
② リストラ加速は人材の内部確保(内製)のデメリットを消してくれる
人材の内部確保のデメリットってなんですか?
「解雇できない」が最大のデメリットです。でもリストラが拡大するとこのデメリットをかき消してくれます
ITエンジニアの外部調達と内製のメリット・デメリット
事業会社の視点に立つと、「ITエンジニアを外部調達するか、社内SEを雇用して内製化を進めるか」にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
外部調達 | 人材育成コストが不要 最新技術が容易に入手可能 不要になればすぐに削減可能 | 中長期ではコストが高い 見積・契約に手間がかかる トライ&エラーがしにくい |
内部確保(内製) | 中長期では低コスト 見積不要でスピード感がある 効果が不確実でもトライしやすい | 人材育成に時間とコストがかかる 技術変化に対応できない人材をうみやすい 仕事がなくなってもすぐに解雇できない |
日本の事業会社がIT人材の内部確保(内製化)を避けて来た背景には、「技術変化に対応できない人材をすぐに解雇できない」がありました。
変化に対応できないITエンジニアを内部で抱えるくらいなら、必要なタイミングで外部から調達しようという考えです。ここに変化の兆しがあります。
日本のIT外部調達と内製化の状況
日本の社内SEの雇用状況に大きな変化がありました
内閣府が2022年7月に発表した『令和4年度 年次経済財政報告』によると、そもそも日本は「就業者に占めるIT人材の割合」が先進国のなかで低いことがわかります。
さらに、下図のとおり日本のIT人材はIT産業に偏っている(72.0%)ことがわかります。つまり、日本の事業会社(非IT産業)はIT人材が枯渇しており、SIerをはじめとする供給側に依存している状況なのです。
ここから超重要です!
長年続いてきたIT人材がIT産業に偏在する傾向は、2021年に大きな変化を迎えました。
下図は情報処理推進機構が毎年発行する「IT人材白書」「DX白書」の12年分のIT人材の推移をまとめたものです。事業会社のIT人材は直近12年間で33.9%増加しており、これはIT企業(提供側)の増加率30.8%を超える数字なんです。
このデータを裏付けるように、2022年はつぎのように「内製化のためにIT人材を雇用・強化する」というニュースが多く聞かれました。
IT内製化のニュース(2022年)
① ニトリホールディングス(約3倍の人員強化)
② シャープ(9倍)
③ SUBARU(4.5倍)
④ クボタ(5.5倍)
⑤ 住友化学(3.5倍)
今後求められる「デジタル人材」の定義
では、今後求められる社内SE像・デジタル人材像とはどのようなものなのでしょうか?
経済産業省は2022年12月に「デジタルスキル標準」を発表しました。
詳細についてはまた別の機会ご紹介しようと思いますが、一言で表すなら「事業会社のIT人材は守りから攻めへとシフトしている」と言い換えることができそうです。
従来は社内SEのミッションの中心は事業会社内で使うシステムの導入・保守・運用でした。デジタルスキル標準で定義されるデジタル人材はこれらに加えて「既存事業の高度化」「サービスデザイン」「データ解析」といったスキルが求められます。
デジタルスキル標準の中の「DX推進スキル標準」は今後社内SEの採用基準に大きく影響することが予想されます。
変化する「情シス/社内SE」の採用基準
社内SEの採用基準も今後大きくシフトしていくことが予想されます
従来 | 将来 | |
---|---|---|
社内SEの中心業務 | システムの保守・運用 | システムの新規導入 |
システム導入アプローチ | QCDを重視した計画 | 走りながら考え早く失敗する |
システム部門の立ち位置 | ビジネスの責任は業務部門 デジタルの責任はシステム部門 | ビジネスもシステムも 両者が協働する |
1人の社内SEに求められるスキル | 広く浅く | 狭く深く |
① 社内SEの中心業務
従来、社内SEの業務の中心はシステムの保守・運用というケースが多く、計画どおりシステムを導入・保守することが求められました。
今後は事業戦略に沿ったシステム導入の成否がビジネスの死活問題になります。そのため社内SEの仕事の中心はシステム導入へとシフトしていくことが予想されます。
② システム導入のアプローチ
従来、IT投資は効果が見込めるものに絞って行うため、あらかじめQCD(品質・コスト・納期)をしっかりと計画して、そのとおりプロジェクトを推進できる人材が求められました。
今後はIT投資の効果が予測しにくいもの、市場でまだ誰もやったことがない取り組みが増えるため、計画を見直しながらプロジェクトを推進できる人材が求められます。
③ システム部門の立ち位置
従来、システム導入や保守・運用において、「ビジネスの責任は業務部門、システムの責任はシステム部門」という切り分けの企業が非常に多くありました。
つまり、「システムがうまく使われて、ビジネス面の効果が出るかどうかは知りません」というのがシステム部門のスタンス・立ち位置でした。
ところが今後はそういうわけにはいきません。ビジネス戦略=デジタル戦略なのです。システムがビジネス面で効果を出せるかどうかシステム部門は業務部門と協働する必要が出てきます。
④ 1人の社内SEに求められるスキル
従来「システム部門はコスト」という位置づけだったため、少ない人員で運営するには「なんでもできる幅広いITスキル」が求められました。社内SE採用で「マネジメントも設計もコーディングもできて、保守経験もあります」というITエンジニアは大人気でした。
今後は徐々にシステム部門の人員が拡充すると、専門職が求められるようになると予想されます。とはいえ、すぐにそれだけ潤沢な人員を抱えられるシステム部門はほんの一部の大手企業に限られます。
SIer・SESのエンジニアはどうすべきか?
今、社内SEへの転職を考えてるSIerのITエンジニアはどうしたらいいんですか?
SIerやSESのスキルセットで社内SEを目指すなら、2025年までに転職するのが良いでしょう
2025年までに社内SEを目指すべき理由
① 「2025年の壁」問題で社内SE採用が活発だから
② 「2025年の壁」を超えると求められるスキルセットが変わるから
③ リスキリングによるデジタル人材のライバルが増えるから
『2025年の壁』とは、複雑化・老朽化・ブラックボックス化したレガシーシステムが残った場合に想定される日本の企業競争力の低下を示すもので、経済産業省が発表した『DXレポート』で指摘された問題です。
事業会社は「2025年の壁」問題でモダンなシステムへのリプレイスが急務のため、社内SEの中途採用は活況です。
この壁を超えるまではSIerやSESでの勤務経験が評価されやすいボーナスステージと言えるでしょう。一方、壁を超えると同じスキルセットでは評価が相対的に下がると予想されます。なぜなら、従来とは違ったモダンなシステムの導入経験はSIerやSESには少ないためです。
さらに、リスキリングにより非IT部門の人材がデジタル人材へとシフトしてくることも予想されます。そうすると、従来型のシステム開発や保守・運用の経験だけのITエンジニアの評価はさらに低下することが予想されます。
だから社内SEに転職するなら2025年までがおすすめです!
一方、SIerですでに成功をおさめている方はSIer内で転職したり、自社にとどまることも有効な選択肢と言えます。SIerランキングで現在地を確認することをおすすめします。
まとめ
この記事では2023年以降にSIerから社内SEへの人材の大移動が始まるという話をしました。その理由は以下の3つでした。
結論:大移動が始める理由
① DXを追い風に内製の優位性が高まっているため
② SIerがビジネス戦略を個別最適からアセットベースにシフトしているため
③ 日本の雇用状況が変化するため
ビジネスにおけるデジタルの重要性が増した事業会社側の都合、IT人材不足で方向転換を迫られるSIer側の都合、両者が大きな変換点を迎えていると言えます。
その結果、実際に2021年までの12年間で、IT人材は事業会社で33.9%増えており、これはIT企業で30.8%を超える数字でした。社内SEの中途採用は活況ですが、転職を目指すなら3つの理由で2025年までをひとつの目安にすると良いでしょう。
2025年までに社内SEを目指すべき理由
① 「2025年の壁」問題で社内SE採用が活発だから
② 「2025年の壁」を超えると求められるスキルセットが変わるから
③ リスキリングによるデジタル人材のライバルが増えるから
社内SEへの転職を目指す方向けに5つのステップで解説します
社内SEの求人はあらゆる業界に存在します。効率よく転職活動をするなら、できるかぎり業界は絞った方がいいでしょう。複数業界の対策をするのは現実的ではないからです。
例えば、給与を重視するなら金融・保険系が良いでしょう。他にも、福利厚生や残業の少なさを重視するなら、地方自治体やインフラ。業界全体が成長している分野なら、M&AやSaaS業界の社内SE(コーポレートエンジニア)も狙い目でしょう。
業界選びのポイント
・35歳以上が社内SEへの転職で年収アップする方法!決め手は●●選び!
・社内SE転職のホワイト企業ランキングトップ100!6つのポイントで解説
・【残業なし・少ない】社内SE企業ランキング50社!プライベート優先なら要チェック!
業界を絞ったら、具体的な社内SE求人情報を調べてみましょう。
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この段階では給与などの条件を絞りすぎず、「どんな求人が多いのかな?」くらいのつもりで検索して、あなたの希望にマッチする求人の有無を確認しましょう。
実際に転職したいと思える求人があったら、転職エージェントに登録してアドバイザーに相談しましょう。
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