社内SEへの転職の書類選考で落とされる履歴書・職務経歴書の特徴を解説!【採用担当歴5年】


いくつも書類選考を受けているけど、なかなか面接に進めない



落とされる書類には『共通点』があります
インターネット上には「書類選考の通過率は30%」という情報もあります。でも、実際には「落とされ続ける人」と「毎回書類通過する人」がいると思います。これは実際に書類選考する立場でも「この書類なら他でも落ちるな」や「この書類ならどこでも通る」と感じるためです。
そこで、この記事では自分の通過率が低いと感じる人に向けて「どの会社でもこの内容は落とされますよ」という特徴とその対策を解説します。私自身は社内SEの中途採用選考を5年以上担当しており、35歳以上の社内SE転職希望者を合格にすることも、不合格にすることもあります。そういったリアルな担当者の声をお届けします。
- 社内SE中途採用の書類選考で落とされる履歴書・職務経歴書の特徴
- 押さえておきたい基本的な注意点
- 募集条件に対してスキルや経験が不足しているときの書き方
- 自己成長欲が強い場合の落とし穴
- 逆に「こういうケースで落とすことはない」という意外なケース
- 情報システム部門のマネージャ職
- 社内SE採用担当歴7年(書類選考、面接)
- 大手SIer 10年以上の勤務経験
- 35歳をすぎて倍率200倍の社内SEへ
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基本的なことで落ちるケース
最初に確認すべき点は「基本がしっかりと押さえられているか」です。基本ができていないと「読み手のことが考えられない人」というレッテルを貼られてしまいます。「基本はできている」という人はつぎの章へ移ってもらっても大丈夫です。
特徴① 誤字脱字が目立つ
履歴書や職務経歴書に誤字脱字が目立つと「大切な書類1つも正確に作れない人」という評価になってしまい、どんなに優秀な経歴でも面接を見送るケースがあります。たった1つの誤字も許されないというケースは少ないと思いますが、目立つようだと注意が必要です。特に古い体質の組織や正確な仕事が求められる業種(例 金融・保険等)では誤字脱字が致命傷になります。
- 誤字脱字がないか提出前にセルフチェックを行いましょう
- セルフチェックできるだけの時間的な余裕を持って作成しましょう
- 第三者にチェックしてもらうのも有効な手段です
特徴② ルールを無視した書き方
記述のルールが守られていないと「この人は相手の意図を理解するコミュニケーションが苦手な人」「読み手の関心をひく気がない人」という評価になってしまいます。
志望企業側がなぜ作成上のルールを設けているかを考えましょう。それは項目単位で他の候補者と比較することが目的です。もしもあなたが志望理由の欄に自己PRを書いてしまうと比較対象から外れてしまい、残念な結果になってしまいます。
- 作成上のルールがある場合、守れているかセルフチェックをしましょう
- ルールや項目の目的が何なのかを考えて記入しましょう
特徴③ 内容がスカスカ・使いまわしだとわかる内容
職務経歴書やエントリーシートの内容がスカスカだと「志望度合いが低く、内定を出しても辞退されそうだな」と考えて、書類選考の段階でお断りするケースが多くあります。



でも結論だけをバシッと書く方がいいんじゃない?ダラダラと書いて埋めろってこと?



結論先出し、ダラダラと書かないという点は重要です。
でも結論を支える理由や実例を書く必要があります。
結論を最後に持ってくる書き方は最悪ですが、結論だけを書いて空白が目立つケースも合格には不十分です。結論を頭出しして、理由と過去の実例を書くことで結論の説得力が増すように心がけましょう。
- 結論だけでは伝わらない。それを支える「理由」と「過去の実例」を書きましょう
- 空白を埋めるようにダラダラ書くのは悪手
スキル・経験不足で落ちるケース
特徴④ 募集条件との乖離が大きい
応募者のキャリアや経歴が人材募集の募集条件とあまりに乖離がある場合、書類選考の段階でお断りすることがあります。これは中途採用で即戦力を求めるときに多くあります。あなたが35歳以上であれば即戦力を求められるケースが多いでしょう。



じゃあ募集条件にバッチリとマッチしないと無理なの?



いいえ、そんなことはありません。募集条件にマッチさせて書く方法がありますよ
それは募集条件を要素に分解して、それに自分の経歴とマッチする部分を見つけ出すという方法です。例えばつぎのようなケースです。
- システム開発経験3年以上の方
- プロジェクトマネジメントをお任せしたい
- エンジニア業務の経験なし
- 自己研鑽でプログラミングスクールに入っている
- 経理担当者として会計システム入れ替えを任された経験あり
このままだと募集条件と経歴はマッチしません。そこで募集条件を要素に分解してみましょう。
システム開発経験3年以上…
①システム開発に強い関心がある、②プログラミングをやったことがある、③システム開発の知識がある
プロジェクトマネジメントをお任せしたい…
④リーダーシップを発揮した経験がある、⑤利害関係の調整ができる、⑥プロジェクトマネジメント知識がある
このように募集条件を分解すると、①②④⑤は経歴とマッチすることがわかります。さらに不足している③⑥は今後どのようにチャレンジしていくつもりなのかを書くことで「面接で話を聞いてみたい」となるんです。
- 募集条件を要素に分けてマッチする要素をアピールしましょう
- 募集条件をどのような要素に分けたのかを書くと、書類選考の担当者も理解しやすい
特徴⑤ 未経験なのに知識/スキル習得の努力が見受けられない
募集条件に対してスキルや経験が不足している場合であっても、将来キャッチアップする計画であるとわかれば面接をお願いすることがあります。一方、スキル・経験が不十分なままでキャッチアップするつもりがなさそうだと判断すればお断りします。
ではどうすれば「キャッチアップする計画だ」と伝わるのでしょうか?例えば、「プロジェクトマネジメントを任せたい」という募集条件に対して、「プロジェクトマネージャ(PM)試験の勉強をしています」だけでは不十分です。
「過去にシステム開発の知識が不足していたので、応用情報技術者試験の勉強し合格したことでキャッチアップできた。現在はプロジェクトマネージャに挑戦しており、この領域も同様にキャッチアップできる見込みだ」というように実例をあげて知識/スキルを習得しようとしていることを証明しましょう。
- 募集条件に合致する経験がない場合、知識/スキル習得の努力を示しましょう
- 過去のキャッチアップ経験を書くことでキャッチアップ計画の説得力を増しましょう
キャリアのミスマッチで落ちるケース
特徴⑥ 35歳を超えてマネジメント経験がない
この記事を読んでくださるのは35歳をすぎてから転職を考えている方が多いと思います。35歳をすぎてマネジメント経験がまったくないと、正直書類選考を通過させるか躊躇します。
マネジメントの経験・スキルの重要性はここで説明するまでもありません。それ以上に「35歳をすぎているのにマネジメント経験をまったくアピールしないという考え方」が心配になります。大きな組織や部や課といった単位じゃなくても構いません。どんなに小さなチームでもいいので自分がそのチームをマネジメントできなければ、35歳を超えて個人で大きな成果を生み出すことは難しいからです。
- どんなに小さな単位でもいいので、マネジメント経験をしましょう
- マネジメント経験は失敗を書いても改善した経験があれば問題ありません
特徴⑦ キャリアが専門的すぎる
応募いただく方の中には、特定の領域・特定のソリューションのみに特化したキャリアを長年歩んで来られた方もいらっしゃいます。もちろんその領域が募集条件にマッチすると良いのですが、どの切り口で考えてもマッチしないという場合があります。あるいは、現時点ではマッチするけど、将来的にその業務はなくなってしまうという場合もあります。
このように応用や転用が効きにくいと感じる場合、書類選考の段階でお断りすることがあります。専門的すぎるキャリアの方は応募する案件をしっかりと見極めることに注力することをおすすめします。
- 長年、専門性の高いキャリアを歩んだ方は応募対象の案件選びが重要です
- あなたの専門性を求める企業がどこなのかは転職エージェントを活用するのが有効でしょう
成長厨すぎて落ちるケース
特徴⑧ やりたいことばかり書いて、貢献できることを書いてない
あなたは、志望動機や自己PRに「転職による自己成長」や「転職後にやりたいこと」ばかり書いていませんか?「転職で成長してキラキラしてるわたしサイコー!」という自己成長を転職の理由にしていることが見え見えの書類に出くわすことがあります。
20代なら「成長意欲があって、活躍してくれるかもしれない」という理由でポテンシャル採用されることもあります。でも35歳をすぎて「自分の成長」を転職理由の中心に据えると痛い目に遭います。なぜなら、志望企業側はあなたの成長のために採用するわけではないからです。自己成長ではなく、採用後に企業が成長するためにあなたが貢献できることを中心に書きましょう。
- 転職の目的が自己成長でもOK!でもそれを転職理由として書くと断られるケースがある
- 転職後に志望企業側に貢献できるポイントをアピールしましょう
特徴⑨ 資格の数はすごいが、職務と資格に関連が薄い
成長厨の中には、資格試験をコレクトすることをライフワークにしているようなケースもあります。資格試験を否定するつもりはありません。実際、未経験の領域に対して知識習得を先行するアプローチは転職の選考において有効な手段の1つです。
一方、あなたの経歴と関連のない資格ばかりを履歴書でアピールする場合は注意が必要です。「自分のリソースを無駄に使っている」「業務に集中してくれないのでは」というレッテルを貼られてしまい、書類選考で落とされるリスクがある反面、「こんなに多くの資格を持っているなんてすごい!」と評価されるリターンはほとんど期待できないからです。
「趣味が高じて、1つ2つ程度が資格取得に至った」という面接でのアイスブレイクになる世間話程度に抑えておく方が良いでしょう。
- 資格取得自体は問題ありません
- 転職の目的を忘れず、関連性の低い資格はアピールしない方が良いしょう
よくある勘違い!書類選考で落とす理由になりにくいケース
この記事を執筆するにあたり、実際に転職活動中の複数の知人に話しを聞きました。その中で意外と勘違いされている落選理由があることがわかりました。そこで「こんな理由では落とさないよ」という点についても解説しておきます。
ただし、あくまで、これは「私たちの組織では落とさない」という例ですので、すべての組織で通用するものではないことをご理解ください。
他候補者と書類で比較して落とされる?
選考プロセスの中に複数の候補者がいる場合、「他の候補者と比べて少し劣るから書類の段階で落とす」ということは基本的にありません。なぜなら、「書類は盛れるので、面接で詳細を聞かないとわからないため」です。書類の段階で「盛った候補者Aさん」「盛らなかった候補者Bさん」がいて、Aさんが良さそうに見えてBさんを落とした後、Aさんが盛っていたことが面接で明らかになってもBさんは戻ってきません。
もちろん、採用側にも面接できる限界の人数が決まっているので、比較して落とすことがまったくないというわけではありません。ただ、書類の段階では募集条件にマッチしないと感じても、優秀な方であれば面接で判断するということが多々あります。
極端に短い職歴があると落とされる?
極端に短い転職歴があっても、退職理由が候補者本人の問題なのか・会社側の問題なのかは判断できないため、それだけを理由に落とすことはありません。
むしろ、面接で「なぜ、辞めたのか(辞めようとしているのか)」という話をすることで、候補者側が転職や働くうえで重視するポリシーや考え方が明らかになり、自社とマッチする人材かを判断する材料になるとわたしは考えています。もちろん「上司とソリが合わなくて」「会社の経営理念が」ということが理由であれば残念な結果になりますが、エンジニアとしてのポリシーや考え方を聞き出すことができれば、話し合いに持ち込むことができます。
まとめ
いかがだったでしょうか?この記事では書類選考で落とされる履歴書・職務経歴書の特徴について9つに絞って解説しました。
- 誤字脱字が目立つ
- ルールを無視した書き方
- 内容がスカスカ・使い回しだとわかる内容
- 募集条件との乖離が大きい
- 未経験なのに知識/スキル習得の努力が見受けられない
- 35歳を超えてマネジメント経験がない
- キャリアが専門的すぎる
- 自己成長を目的とした転職である
- 経歴と関連性のない資格が多数並ぶ
記事の中で、それぞれの特徴に対して「対策」を紹介しました。ぜひ参考にしていただければと思います。さらに、転職エージェントは職務経歴書等の書類についても相談に乗ってくれることがあります。特に志望企業にマッチした書き方はライバルに差をつける重要なポイントです。ぜひ、転職エージェントに相談してみることをおすすめします。

