実は、面接に漕ぎつけたあなたのスキル/経験は合格レベルにあると言えます。それでも落とされたなら、原因は「質問の意図が理解できなかった」という可能性があります。
この記事では、実際に年間何十人も社内SEの採用面接を行う現役の採用担当(書類選考・面接)の立場で、実際に使っている質問リストに沿って、面接での質問の意図を解説します。
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2. あなたのスキル/経験のうち、市場価値が高い部分がどこか
3. 社内SEの中途採用の面接対策
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目次
面接で確認する4つのポイント
候補者やポジションによって質問内容は変えていますが、質問の核心は大きくブレることはありません。つぎの4点です。
面接で確認する4つのポイント
① 継続性(書類選考の再確認)
② 再現性(書類選考の再確認)
③ 人柄
④ 待遇
面接の前には必ず書類選考があります。これは効率的に採用活動を行うためです。書類選考では『継続性』と『再現性』が確認されます。面接では『継続性』『再現性』が「盛っていないか」を確認します。
ちなみに、『継続性』とはあなたが長く勤めてくれること、『再現性』とはあなたが過去の実績を転職後にも発揮できることです。この点は『【まとめ】社内SEの書類選考通過までの完全ロードマップ!採用担当が解説!』にまとめています。
続けて『人柄』と『待遇』が確認されます。面接の流れはほぼ全員が同じです。面接の流れが気になる方は『社内SEの転職面接の流れを解説|失敗しない3つのポイント!』をご覧ください。
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では具体的な質問リストの内容を見ていきましょう!
継続性への質問リスト
継続性とは、仮にあなたが自社に転職した場合に「長く勤めてくれること」です。これは提出された書類の「志望動機」や「転職理由」にあたります。
- これまでの経歴について教えてください。
-
冒頭に聞かれる「あなたの経歴」は自己紹介だと考えて、なるべく短く1分程度、長くても2分以内に抑えましょう。短くおさめるべき理由は、採用担当者は履歴書と職務経歴書であなたのことを知っているからです。
かつ、35歳以上なら直近5年間の経歴にフォーカスしましょう。古い技術や若い頃の担当者レベルの仕事を採用担当者に伝えても意味が薄いからです。
- 今回、このポジションに応募いただいた志望理由を教えてください。
-
志望動機は継続性、つまり「転職後にすぐに辞めないか」を確認しています。志望動機が「現在の仕事がつまらないから」「現在の年収が低いから」だったとしても、それを伝えるのはおすすめしません。
転職後に成果を出すまで勤めることを証明するには、あなたの『転職の軸』を説明し、それが志望企業の特徴とマッチすることを説明しましょう。エントリー時に提出した志望動機をあなたの言葉で伝えると好印象です。
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- 現職を離れようと考えている転職理由を教えてください。
-
なぜ現職を辞めたいと考えているのかを知ることで、候補者がなにを大切にして働いているのかを知ることが面接官の目的です。これも自社とのギャップがないか確認することが目的。
ネガティブな理由で現職を離れたいのが本音であっても、建前でそれは言わない方がいいでしょう。「上司が無能で、薄給で」と面接で発言する人物を部下にしたい人はいませんよね?
むしろ建前でいいので「現職では実現できない○○にチャレンジしたい」と伝える方が面接官も転職後のあなたの働くイメージがしやすく、好印象と言えます。
再現性への質問リスト
再現性とは、あなたが現職や前職同様に「転職後にも成果を発揮できること」です。これは事前に提出した応募書類の「自己PR」にあたる部分で、面接でもっとも重要なパートです。
あなたが応募したポジションや志望企業の情報システム部門が担当する業務領域(プログラミングまでするか、外部委託してマネジメントが中心かなど)によって質問内容は異なります。情報システム部門の役割は企業によって大きく異なります。事前に志望企業のタイプを把握しておきましょう。
今回はおおきく5つに分類して質問リストを公開します。
再現性を確認する際の5つの領域
① 基礎スキル
② 対システムスキル
③ 対業務部門スキル
④ 対チームスキル
⑤ 対経営層スキル
なお、上記のスキルはすべて社内SEに必要なスキルです。くわしくは『【社内SEスキル大全】即採用されるスキル習得のロードマップを解説!』で解説しています。
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① 基礎スキル
基礎スキルとは、「対システムスキル」や「対業務部門スキル」などの専門性の高いスキルを修得する前に身につけるべきスキルで、ファシリテーションやプレゼンテーション、ロジカルシンキング、セルフマネジメントのスキルがこれにあたります。
- 社内外の関係者の合意を得るために仕様検討や課題検討でファシリテーションすることがありますが、そのような経験はありますか?
-
社内SEはシステム導入やトラブル対応でファシリテーターを務める機会が多い職種です。あなたがITの経験者でも未経験者でもファシリテーションができるかどうかは非常に重要な要素です。
まったく経験がないケースはまれですので、あなたが中心となって解決した具体的な課題をベースに経験を伝えましょう。
- (製品選定でも何でも良い)その選択をした理由を教えてください。
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ロジカルに物事を決定できるか、それをわかりやすく説明できるかを知りたい場合、仕事上の意思決定の理由を聞く場合があります。
- マルチタスクの経験はありますか?仕事を同時並行で進める場合、どのように処理しますか?
-
SIerでプロジェクト案件を担当している場合と比べて、社内SEは複数の仕事を同時に処理することが多い職種です。マルチタスクの経験があれば、数字を含めてどれだけの案件を同時に処理したか、そのためにどのような方法でタスク管理をしたか答えましょう。
方法は人それぞれなので正解はありませんが、例えば、タスク管理の方法、打合せの決定事項をその場で共有するなど、具体的に説明できると説得力があります。
② 対システムスキル
- 我々は◯◯のスキルを求めていますが、あなたの経歴やスキルで活かせるものを紹介してください。
-
質問のとおりですが、求めるスキルとあなたのスキル/経験のマッチ度合いを測る質問です。
もしも「ECサイトを作れるスキルを求めています」という質問であれば、「PHP+JavaScript」「サーバサイドはPython」などなるべく多くのキーワードを伝えることで、あなたのスキルの「幅」を伝えましょう。
一方「PHPとサーバサイドはJavaで作られたECサイトを改善できるスキルを求めている」と具体的に指定された場合は、「JavaはSpringフレームワークで、共通部品の仕様検討から開発までできます」といったように「深さ」を伝えましょう。
- (技術的な経験に対して)どのようにしてあなたはそのスキルを身につけましたか?
-
あなたにスキル修得の習慣があるかを確認しています。「先輩から」「研修で」など組織だけに頼った方法になっていると要注意です。人材育成を得意とする情報システム部門はまれです。自走できる人材であることをアピールする方が良いでしょう。
- プロジェクトマネジメントの経験はありますか?例えばどのように品質管理されたか教えてください。
-
プロジェクトマネジメントの知識レベルと柔軟性を確認するための質問です。
セオリーどおりの回答をして、ツッコミがあれば柔軟性があることを添えましょう。間違っても「勘と経験」「コミュニケーションと人間関係で」のような回答は避けましょう。
品質管理であれば、まずは教科書どおり「品質担保の計画を立て、工程計画に落とし込み、レビューやテストのバグ数をマクロで分析し、バグの偏りを見つけて横展開する」のような回答をしましょう。
③ 対業務部門スキル
- 要件定義の経験はありますか?どのようなアプローチで要求を定義しましたか?
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要件定義や設計のスキルを確認するための質問です。手段(システム)の話に終始するのではなく、顧客のビジネス的な背景を把握して、ビジネス上の課題を解決するためにどのような手段を用いたのかを説明できるとビジネス感覚が強い情報システム部門に望まれるスキルを持っていることが証明できて好印象です。
- 確定させた要件に変更が発生したときに、あなたはどのように振る舞いますか?
-
安易に顧客の言いなりにならないか、変更を受け入れるにしてもプロジェクトの目的に照らして変更し、それを変更管理プロセスに乗せてプロジェクト管理できるかを確認するための質問です。
- 現在担当している業務の中で抱えている課題があれば、可能な範囲で教えてください。
-
候補者の視座の高さ、改善の意識を常に持っているかを確認するための質問です。
顧客のビジネスを巻き込んだ課題か、チーム運営に関する課題か、個人の課題か、あるいはただの「やらされ仕事」なのか?応募するポジションに応じた範囲の課題認識を話せることが望まれます。担当者レベルへの応募なら個人の課題で構いませんが、組織長のポジションならそれでは不十分でしょう。
課題は具体的な数字を入れて伝えると、信憑性が高まります。
④ 対チームスキル
- あなたがリーダーを務めたチームの規模を教えてください。
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35歳以上の募集ポジションの場合、リーダー経験を求めるケースがほとんどです。どの程度の規模のチームを率いることができるかを確認する質問です。
チームの目的・ゴールと併せて、人数や年間売上高など数字を使って回答しましょう。
- リーダー経験で苦労したのはどのような部分で、どのように対処したか教えてください。
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リーダーとしてのタイプを確認するための質問です。
苦労した経験とその対処方法を聞くことで、あなたがどのようにチームをリードするのか、それが志望企業の文化にマッチするのかが確認できます。例えば、納期直前に過度な変更要求がありメンバーから不平や不満が出たときに、「納期調整」か「仕様調整」か「残業対応」か、このようなケース1つをとっても特色が表れます。
- 多様なバックグラウンドを持つメンバーをリードした経験はありますか?
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新しい環境への適応能力の高さを確認するための質問です。必ずしも多国籍メンバーをリードした経験がなくても問題ありません。
情報システム部門の役割は企業によって大きく異なり、そこにはさまざまな会社から中途採用されたメンバーが集まります。その環境に適応し、リーダーとして振る舞えることを証明しましょう。例えば、ちょっと変わった顧客との要件定義経験、オフショア開発の発注経験、経験豊富な年配メンバーをリードした経験などでもよいでしょう。
- 部下や後輩の育成経験はありますか?そのときに苦労したことがあれば、どのようなに対処したか?
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あなたの社会性やチームへの貢献を確認するための質問です。
育成を任されるのは比較的社会性が高く、チームワークへの貢献意識が高い人物です。育成経験があるだけでその証明になります。また、育成で苦労した経験とその対処方法を聞くことで、あなたのチームメンバーへの姿勢がわかります。権限重視タイプか、サーヴァントなリーダーか、背中を見せるタイプか、志望企業の文化とのマッチ度合いが確認されます。
- 担当されていた仕事でどんな課題がありましたか?
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あえてあいまいな聞き方をすることであなたがどのレイヤーの役割を担っていたか確認するための仕事です。
マネージャやリーダーを募集する求人において「度重なる仕様変更に効率よく回帰テストする方法に課題を感じていました。対応方法として…」という回答をすると、面接官は「この人、マネージャレイヤーの方ではないな」と感じてしまいます。
募集しているレイヤーに応じた回答を心がけましょう。
⑤ 対経営層スキル
- 自社・顧客を含め経営層にプレゼンテーションした経験はありますか?どのように伝えるよう努めましたか?
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35歳以上の中途採用の場合、数年もすれば経営層へのプレゼンテーションの主体となることが期待されます。
経営層の関心事に合わせた説明ができるか、仮説・データ(数字)で説明できるかを確認できるかを確認します。
- あなたの現職の会社(あるいは志望企業)はどのような課題を抱えているとお考えですか?
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常に会社の経営層が抱える課題に関心を持っているかを確認するための質問です。
会社のビジョン、事業の外部環境、財務ハイライトは頭に入っていますか?それらの中であなたが課題と感じる点を自分の言葉で話せますか?
課題を説明し、自分ならこういうアクションプランを打ちたいと説明できればかなり高く評価されることが予想されます。
ちなみに、「その案をなぜ経営層に提案しないの?」というツッコミは気にしなくて大丈夫です。なぜなら、採用担当者もそれが簡単ではないことはよく知っているからです。
人柄への質問リスト
継続性と再現性が合格レベルで「ぜひうちに来てほしい」と判断できたら、続いて人柄を確認しています。どれだけ優秀な成果をおさめた方でも人柄や振る舞いが自組織にマッチしなければ、活躍につながらないからです。
人柄を確認するときのポイント
① 挨拶の明るさ
② 自己紹介の簡潔さ
③ わからないを曖昧にしない
「あなたは謙虚ですか?」と聞いても「いいえ、徐々に横暴な態度をとります」と回答する人はいません。そのため、人柄は質問ではなく、話し方や振る舞い、過去のエピソードを聞くことで評価します。
元気よく、簡潔に話せるスマートさがあるのは最低限のラインでしょう。
「わからないことを曖昧にしない」を試す目的で、意図が曖昧な質問や少しわかりにくい質問をするケースがあります。そんなときに「◯◯という意図の質問ですか?△△という意図ですか?」と聞き返せる候補者には好印象を持ちます。
また、過去の失敗談や部下育成には候補者の人柄が強く反映されるため、聞くことがあります。
- これまでの仕事の中で一番大きな失敗をしたのはどんな内容ですか?あなたはどの立場でどのように行動しましたか?
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失敗の理由によって採用を見送ることはありません。むしろ、失敗の「原因分析」「責任を持ってリカバリーを試みたか」「周囲を前向きに巻き込めるか」など、内省できる人物であるかを評価します。
- 部下や後輩の育成経験はありますか?そのときに苦労したことがあれば、どのようなに対処したか?
-
あなたの社会性やチームへの貢献を確認するための質問です。
育成を任されるのは比較的社会性が高く、チームワークへの貢献意識が高い人物です。育成経験があるだけでその証明になります。また、育成で苦労した経験とその対処方法を聞くことで、あなたのチームメンバーへの姿勢がわかります。権限重視タイプか、サーヴァントなリーダーか、背中を見せるタイプか、志望企業の文化とのマッチ度合いが確認されます。
待遇への質問リスト
最後に、待遇の質問をします。待遇については人事部門が主導で質問するケースが多いと言えます。
- 転職後の希望年収は?それを下回る場合、いくらまでなら転職しますか?
-
多くの中途採用では、現職の年収を考慮して年収を決定します。
希望する年収が志望企業側が想定するポジションの年収とマッチするかを確認する意図で質問しています。マッチせず希望年収を下回ることが想定される場合、転職してくれる最低ラインを確認することを目的に質問しますので、あなたが譲れない年収を提示しましょう。
- いつから働けるか?
-
今回の応募の本気度合いを確認するための質問です。
この質問に「半年後なら……」と回答するようだと、「本気じゃないな」「内定を出しても他を受けて逃げていくかもしれない」と採用担当者は考えます。引継ぎや有給休暇の消化を考えると、現実的には2ヶ月後くらいが相場でしょう。
まとめ
この記事では、社内SEの採用担当歴5年以上のわたしが、年間に何十名も実際に面接する際に使っている質問リストと質問の意図について説明しました。
候補者によって質問の内容は変えていますが、確認したい軸は変わりません。以下の4点を確認しています。
面接で確認する4つのポイント
① 継続性(書類選考の再確認)
② 再現性(書類選考の再確認)
③ 人柄
④ 待遇
『継続性』はすぐ辞めないことの証明、『再現性』は現職の成果を転職後にも発揮できることの証明です。この2点は応募書類の段階で仕込んでおく必要がありますので、『【まとめ】社内SEの書類選考通過までの完全ロードマップ!採用担当が解説!』で対策しましょう。
面接の流れは『社内SEの転職面接の流れを解説|失敗しない3つのポイント!』で事前に確認しましょう。
転職面接の流れや質問リストを事前に確認することで、当日は落ち着いて臨めることを祈っています。
面接対策なら転職エージェント活用が有効
社内SEの転職事情に詳しいアドバイザーに面接対策を相談するのは非常に有効な対策の1つです。また、カジュアル面談を通じてより良い案件をアドバイザーから聞き出せるかもしれません。
転職エージェントができるアドバイス
1. 志望企業の情報システム部門が求める人材像
2. あなたのスキル/経験のうち、市場価値が高い部分がどこか
3. 社内SEの中途採用の面接対策
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