SIerはオワコンか?今後の将来性はあるか?業界20年以上の視点で解説

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SIerの市場は成長しており、特にDX推進でのニーズが拡大しています。しかし、人月商売のビジネスモデルやIaaS/SaaSの台頭などから将来性が低いと言われる理由も存在します。特に、3次請け以降のSIerは将来性が低いとされ、上流工程の経験やプロジェクト管理スキルが不足しがちです。この記事では、SIer業界の現状と将来性、良いSIerとそうでないSIerの特徴を解説しています。

SIerはオワコンって言われると将来が不安

SIerはこの先20年以上続きますよ

なぜ「オワコン」「将来性がない」と言われるのか?それは一部の企業が「オワコン」「将来ヤバイかも……」という状況だからです。

この記事ではSIerの将来性について、ポジティブ/ネガティブの両面に目を向けて、やめておいた方がいいSIerの特徴を解説します。

R35運営者の転職プロフィール
  • 情報システム部門のマネージャ職
  • 社内SE採用担当歴6年(書類選考、面接)
  • 大手SIer 10年以上の勤務経験
  • 35歳をすぎて倍率200倍の社内SEへ
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目次

結論:オワコンではないが、将来性が低い会社もある

結論:オワコンではないが、将来性が低い会社もある

後述しますが、SIerはまったくオワコンではありません。市場規模は年々大きくなっています。またDXを追い風にしてニーズも拡大しています。

一方で、オワコンと言われる理由もあります。なぜ、将来性が低いと言われるのかその理由について解説します。

オワコンと言われる理由

理由① 人月商売で人材が成長しにくい

SIer(システムインテグレーター)はWikipediaでつぎのとおり定義されています。

個別のサブシステムを集めて1つにまとめ上げ、それぞれの機能が正しく働くように完成させるシステムインテグレーション事業を行う個人や企業

Wikipedia『システムインテグレーター

その事業のなかでシステムエンジニアを業務委託形式で役務提供することが多々あります。「1人月100万円」という単位で売る『人月商売』はITエンジニアが仕事で工夫をしても、しなくても毎月100万円が売り上がるビジネスモデルです。

開発やコーディングで効率化するとむしろ儲からないため、人材が育ちにくいビジネス構造に問題があると言われることがあります。

理由② IaaS・SaaSの台頭

メタップスが従業員50名以上の企業のIT担当者530名を対象に行った調査によると、企業が導入・利用しているSaaSの数は2020年から急増しています。

引用:株式会社メタップス調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000126.000072698.html)

SaaSだけではありません。awsをはじめとするIaaSの台頭により、従来SIerが個別に行っていたサーバインフラの構築や保守業務はawsやGoogleなどの巨大企業が担うようになりました。

その結果、インフラもアプリケーションもIaaSやSaaSに置き換えられ、SIerの開発・保守業務が奪われていると言われています。

理由③ アジャイル開発に不向き

SIerが得意とする開発手法は「ウォーターフォール型開発モデル」で、ユーザーの要件を整理し、明確に設計書に落とし込んでからプログラム開発するという手法です。

ウォーターフォール型開発は刻一刻と変化するビジネス要件に対応しにくい手法であると言われており、現在はSaaSが日々アップデートされるのに対して、この手法ではユーザーのニーズにマッチできないと言われています。

これはウォーターフォールかアジャイルか、どちらが正しいという議論ではありません。若手ITエンジニアはアジャイル開発できる現場を好む傾向があり、ウォーターフォールの重厚長大な開発現場を嫌う傾向にあるため、優秀な人材が集まりにくいのです。

理由④ 自社製品がなく価格競争へ

大手SIerを除き、多くのSIerは有力な自社製品を持っていません。自社製品がなければ、ITエンジニアの役務提供(新規開発または保守)が主な収入源となります。

超高度な技術・豊富な知識/経験が求められる仕事は一部であり、一般的なエンジニアリングサービスは極論すると「どのSIerでも良い」ため、価格競争になりやすい構図です。

特に二次請け、三次請けのSIerは、価格競争に巻き込まれやすい構造と言えるでしょう。

理由⑤ 優秀な人材の流出

総合コンサルティグファームがITサービス領域を強化しており、SIerからITコンサルファームへの人材流出が止まりません。よく言われるのがアクセンチュア、PwC、ベイカレントあたりへの転職です。

それだけではありません。awsやSalesforceといった外資ITへの流出も顕著です。若手・中堅の優秀な人材が次々と流出していることが将来性を懸念される要因の1つと言えます。

理由⑥ 事業会社が内製化へ

人材の流出先はITコンサルファームや外資ITだけではありません。

最近では事業会社側がシステム開発やDX推進を内製化するケースが増加傾向にあり、SIerから事業会社の情報システム部門やデジタル推進部門へ転職するケースが増えています。

従来、事業会社からSIerへ発注していたものの、スピード感や柔軟な対応が難しく、自前でITエンジニアを囲い込む戦略へシフトしています。経済産業省も『IT人材需要に関する調査』でその必要性について言及おり、この欧米のスタイルに近い形態が今後もその傾向が強まることが期待されています。

オワコンとは言えない真実

ここまでSIerに関するネガティブな理由ばかり並べましたが、決して将来性がないわけではありません。むしろ、SIerはビジネス面で成功し続けており、今後も成長を継続できると見込まれています。

市場は成長し続けている

国内SIerの市場規模は8.8兆円、今後5年間で約31%成長することが見込まれています。

過去にもスポットをあてて見ましょう。少し古いデータですが、日経クロステックは直近10年は売上が上昇を続けていることを示しており、クラウド型のSIが拡大を牽引する予想を報じています。

引用:日経クロステック『SIの変革待ったなし』
(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/nc/18/041900228/041900001/)

人材不足になるほどニーズがある

市場規模に応じて、人材獲得ニーズも高まっています。

経済産業省の『IT人材需給に関する調査(概要)』でも2030年までIT人材の不足数が拡大傾向であると言われています。

実はわたしがIT業界に入った2000年代においてもIT業界は「人手不足」と言われていました。需給バランスに応じて給与も徐々に高水準になっています。

やめておいた方がいいSIerの特徴

SIer自体は好調で将来も拡大することはわかったけど、危ないSIerもあるってことですよね?

そのとおりです。ではどんなSIerはやめておいた方がいいのでしょうか?

結論:3次請け以降のSIerは将来性が低い

ではなぜ、3次請け以降の企業はやめた方がよいのか、その理由を3つの観点で説明します。

特徴① 上流工程が担当できない

SIerはコーディングの技術力が身につきにくい反面、上流工程を担当する機会が多ければ、将来ITコンサルや要件定義のプロフェッショナルの道があります。

しかし、3次請けのSIerだと10年目でも設計の量産やコーディング、テスト工程を担当することが多く、単価があがりにくいのです。当然、これはあなた自身の給与に反映されます。

特徴② プロジェクト管理ができない

SIerのもう1つの魅力はプロジェクトマネジメント能力を磨ける点です。

プロジェクトマネージャの経験があれば、どのSIerでも活躍できますし、ITコンサルや事業会社の社内SEの道があります。

ところが、3次請けではプロジェクト全体をマネジメントする経験を詰めず、いつまで経っても担当レベル・リーダーレベルの仕事で単価があがりません。

プロジェクトマネージャは管理能力だけでなく、説明力、交渉力といったスキルを身につける機会になるため、それらが低いまま35歳をすぎるのは非常にリスクが高いと言えます。

特徴③ 請負契約や自社製品開発がない

3次請けを避けた方がよい理由の3つ目は、「工夫するメリットが薄くなるため」です。

請負契約は総額が決まっており、何人月で実施しようが完成物を納品すれば売上が立つため、「工夫による効率化=利益」という構図です。同様に自社製品もいかに安価に開発してユーザーを多く獲得するかという構図と言えます。

一方、3次請けに多いのはSESをはじめとする準委任契約です。準委任契約は善管注意義務を除いて、「かかった工数=売上」という構図のため、工夫で効率化ほど売上が下がる構図と言えます。

さすがに工夫なしだと受注できないんじゃない?

現在は人材不足のため、受注できてしまうんです。これが徐々に成長が鈍化したときに社内に残るのは工夫の必要性も工夫のしかたも知らないITエンジニアばかりです。

SIerから転職するならどこがいいか?

ではSIerから転職するなら、どんなキャリアがあるのでしょうか?ここでは5つに分けてSIerから転職する場合の転職先を紹介します。

キャリアパス概要
1自社に残る現状の待遇に不満がなく、キャリアプランが明確であれば、自社に残って今後も成果をあげるのがもっとも有力な選択肢です。
2SIer→SIerに転職する現状3次請け以降で、待遇やキャリアに不満・不安があれば1次または2次請けのSIerへの転職が有効な選択肢になります。また、特定領域に強みがあるSIerも良いでしょう。

おすすめ転職エージェント
マイナビITエージェント
doda
3ITコンサルファームに転職するより上流工程を担当したい場合はコンサル系SIer(総合コンサルファームのIT部隊)に転職するのが有効な選択肢になります。

現職でプロジェクトマネージャを経験している、あるいは現在SIerで35歳未満である方は比較的採用のハードルが低いでしょう。

おすすめ転職エージェント
アクシスコンサルティング
4自社サービス企業に転職する他社にシステムを納品するのではなく、自社製品・サービスを開発したい場合はSIerからパッケージベンダーへの転職が必要です。

おすすめ転職エージェント
レバテックキャリア
マイナビITエージェント
5事業会社の社内SEに転職するシステムを提供するだけでなく、よりビジネス企画と密接に関わりたい、安定した環境で仕事がしたい場合は社内SEへの転職が有効です。

おすすめ転職エージェント
レバテックキャリア
社内SE転職ナビ
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