30代ITエンジニアが転職するならSIer?社内SE?見極めポイント解説!
今の会社から転職したいけど、35歳限界説ってほんとですか?
システムエンジニア(30代)
30代でもスキル/経験があればどこでも転職可能です。
35歳以上はむしろ社内SE転職に理想的です
30代は転職の選択肢がもっとも幅広いタイミングと言えます。プレイヤーとしてもマネージャとしても求められます。
この記事では、30代の転職者が転職する理由とそれに沿って現実的な転職先をSIer、ITコンサルファーム、社内SEに分類します。それぞれの転職のメリットとデメリットを理解することで現在転職を検討される30代の読者の参考にあれば幸いです。
40代の方には『40代のITエンジニアが転職するならSIer?社内SE?見極めポイント解説!』がおすすめです。
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30代の転職理由
転職理由ランキングのデータ
dodaの転職理由ランキングによると、30代の転職理由は以下のとおりです。すべての職種を対象に30代で「転職した」人から回答を得た調査です。
30代では「給与面の不満」「昇進・キャリアアップが望めない」「スキルアップしない」が転職の理由である傾向が強いと言えます。
順位 | 転職理由 | 割合(複数回答可) |
---|---|---|
1位 | 給与が低い・昇給が見込めない | 34.6% |
2位 | 昇進・キャリアアップが望めない | 33.0% |
3位 | スキルアップしたい | 27.4% |
4位 | 労働時間に不満(残業が多い/休日出勤がある) | 26.0% |
5位 | 尊敬できる人がいない | 25.7% |
6位 | 個人の成果で評価されない | 24.5% |
7位 | 会社の評価方法に不満があった | 24.4% |
8位 | 社員を育てる環境がない | 24.3% |
9位 | 離職率が高い | 23.9% |
9位 | 社内の雰囲気が悪い | 23.9% |
年代別の転職理由の推移を見てみましょう。30代の転職理由に「昇進・キャリアアップが望めない」「スキルアップしたい」が多く聞かれるのに対し、40代・50代では「社内の雰囲気が悪い」「尊敬できる人がいない」が上位に入ります。
ITエンジニア・SEの転職理由を考察
残念ながら、今回のランキングには職種別や業種別の転職理由ランキングはなかったため、以下はわたしの推察になりますが、IT業界に約20年いますので、それなりに妥当性があるのではないかと思っています。
30代最大の関心事は給与や待遇、キャリアアップ
日系SIerの20代ITエンジニアは年功序列であることが多く、給与や役職に差がつきにくいと言えます。しかし30代は給与・役職に差が生まれるタイミングです。
その結果、周囲と比べることで転職理由の1位が「給与が低い・昇給が見込めない」、2位が「昇進・キャリアアップが望めない」となっていると考えられます。
30代でITエンジニアとしてのキャリアプランが決まり出す
20代はインフラやアプリ、セキュリティなど自分が望む/望まないに関わらず、配属された部署でキャリアがスタートします。はじめのうちは仕事を覚えるだけで精一杯でも、30代になるとその分野でのキャリアの先々が見えてきます。
例えば、「セキュリティの分野でキャリアを続けるなら、今の会社ではスキルが頭打ちになる」と考え、スキルアップのための転職を選択することになります。
40代になると「労働時間への不満」が自然と解消されるかは疑問
30代の転職理由4位「労働時間に不満(残業が多い/休日出勤がある)」は、40代では10位まで下がっています。これは「40代になると労働時間の長さを受け入れるようになった」ではなく、世代間の差と考える方がよいでしょう。
アンケート時点の40代は、バブル崩壊後の就職氷河期を経験した世代で、入社後、上司からいわゆる「昭和の価値観」で育成された最後の世代とも言えます(30代にも一部いますが)。わたしを含め長時間労働に疑問を持ちにくい世代だからこそのアンケート結果と考えるべきでしょう。
現実的な転職先
では30代のITエンジニア・SEにとって、現状の不満を解消するための現実的な転職先はどういった企業になるのでしょうか?
転職先は大きく分けてつぎの3つあります。
30代のITエンジニア・SEの転職先
① システムインテグレータ(SIer)
② ITコンサルファーム
③ 社内SE
① SIer
まっさきに考えられる転職先はシステムインテグレータ(SIer)です。
SIerはシステムの導入や保守・運用を行う事業者で、既存のパッケージやサービスを組み合わせ、足りない部分は顧客向けにマッチするシステムを開発します。
SIerの中途採用ではマネジメント経験が求められやすい傾向にあります。転職理由の2位にあがった「昇進・キャリアアップが望めない」を解消するにはうってつけです。
さらに、現職の会社規模や待遇にもよりますが、IT業界においてSIerは給与・待遇が良いことが多く、特に上場企業は平均給与も総じてIT業界の中で高めです。
② ITコンサルファーム
つぎに、ITコンサルティングファームへの転職も現実的な選択肢です。
国内では特にアクセンチュアやPwC、デロイトトーマツなどITエンジニア・システムエンジニア出身の中途採用が活発なコンサルティングファームがあります。
コンサルティングファームは給与水準が異次元のため、IT系の企業からの転職であれば転職理由の1位にあがった「給与への不満」を満たすケースがほとんどです。
③ 社内SE
最後の選択肢は、特定の会社の情報システム部門の立場でシステム企画・運用を行う社内SEへの転職です。
社内SEの仕事は幅広く、さらに企業によって情報システム部門の役割は大きく異なるため、社内SEが一概にあなたのキャリアにマッチするとはかぎりません。
会社・業界によって「給与」「役割」「将来性」が異なるため、転職理由の1位にあがった「給与への不満」を満たす求人が必ずあるとも言えます。
転職先毎のメリット/デメリット
① システムインテグレータ(SIer)への転職のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
マネジメント経験が活かせる 給与・待遇はIT業界内で高め | 中規模以下は2次請けになる 客先常駐が多い テクニカルスキルが伸びにくい |
SIerに転職すれば、これまで積み上げたマネジメント経験を活かせます。さらに、SIerの給与や待遇はIT業界の中では総じて高めです。従来はここが最高峰だったと思いますが、現在では外資系ITコンサルファーム(アクセンチュアなど)、外資系サービス事業者(awsなど)がトップクラスでしょう。
一方、SIerの中でも中規模以下だと2次・3次請けになり、給与・待遇は期待ほど改善しにくいでしょう。さらにSIerは既存パッケージやサービスの組み合わせとプロジェクトマネジメントが「売り」なので、テクニカルスキルは伸びにくい環境です。
② ITコンサルファームへの転職のメリット/デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
給与・待遇が圧倒的に高い 優秀な人材が多く、尊敬できる人に出会える確率が高い つぎの転職にも有利でキャリアアップにつながりやすい | 年収は高いが労働時間は長めの会社が多い 成果主義で年下の上司の下になることもある テクニカルスキルが伸びにくい |
IT系のコンサルファームなら「給与が低い・昇給が見込めない」はほぼ確実に解消されるでしょう。平均給与はIT業界の比ではありません。また、優秀な人材がしのぎを削る業界ですので、仕事の面で優秀な尊敬できる人物に出会える確率も高いと言えます。コンサルファームでのキャリアがあれば転職にも困りません。
一方、コンサルファームは高い年収と引き換えに長時間労働は問題になることもよく聞かれます。成果主義のため若くしてシニアコンサルタント、パートナーとなるケースもあり、年下の上司のもとで働くことも珍しくありません(これをデメリットと感じるなら向いていないと言えます)。
③ 社内SEへの転職のメリット/デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
マネジメント経験が活かせる 給与・待遇は業界によってはIT業界より高い 業界選びで業界の将来への不安を払拭できる | テクニカルスキルが伸びにくい 業界・会社選びを間違うとIT業界より低くなる |
どの業界の社内SEに転職するかによりますが、業界や会社によってはIT業界よりも給与・待遇が改善されます。例えば、私の場合、SIerから社内SEへ転職し6年経過して年収は300万円アップし、夏期休暇・冬期休暇はそれぞれ約2週間ずつという環境です。
一方、テクニカルスキルは本人が維持する努力をしないと失われやすい環境です。また、業界・会社選びを間違うとIT業界よりも給与・待遇が悪化することもありえます。
転職の軸を決めて転職活動をしよう
ここまで30代の転職理由ランキングと現実的な転職先についてまとめました。
30代になると先々のキャリアを考えはじめます。望むキャリアは人それぞれで、かつ転職で実現したいこと(=転職の軸)も異なります。実際に、わたしがお付き合いのある方の転職理由と転職先はまちまちです。
- 人事・給与ERP導入を10年以上続けたエンジニア: スキルアップを優先してでITコンサルファームへ
- 技術で食ってきたセキュリティエンジニア: 尊敬できる人に囲まれた環境を優先して外資系セキュリティ企業へ
- 人間力激高のプロジェクトマネージャ: 転勤なしを優先して地元の大手企業の社内SEへ
転職の軸の定め方、志望企業の探し方については、つぎの記事を参考にしていただくと便利です。ぜひごらんください。
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