情シス/社内SEの実態から狙い目企業とアピールスキル/経験を知ろう

社内SEへの転職を検討している人に質問です。情報システム部門(以下、情シス)の実態ってごぞんじでしょうか?仮にごぞんじだとしても、あなたが知る情シスと志望企業の情シスが同じとはかぎりません。なぜなら、会社によって情シスのタイプはまちまちだからです。
情シスの実態を知らずに転職活動をスタートしようとしているなら、これほど危険なことはありません。
そんな方のためにこの記事では、株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)が毎年発行される『全国情シス実態調査』に沿って、情シスの実態と課題、関心事を考察することで、転職活動の前に情シスで働く社内SEについて理解を深めていきましょう。
この記事はIIJ様に転載の許可をいただいたうえで公開しています。より詳しいデータはレポート本編『全国情シス実態調査 2025』をぜひダウンロードしてご確認ください。
- 情報システム部門のマネージャ職
- 社内SE採用担当歴8年(書類選考、面接)
- 大手SIer 10年以上の勤務経験
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情シスを積極採用する業界・会社規模は?
転職活動をするなら、情シス要員を積極的に採用している企業を受けたいですよね。
まず、全業種の平均で情シスの人員数が「増えた」と回答された方は27.9%、「減った」の回答11.7%を大きく上回っています。「変わらない」が60.5%ですが、全体的に増加傾向にあることがわかります。
でもどうせ受けるなら、積極採用している「業界」「会社規模」を知りたいですよね。
増えているのは金融、素材、建築・不動産

情シスの人員数が「増えた」と回答した業種は多い順に以下のとおりです。
- 消費者サービス
- 金融
- 素材・素材加工品
- 輸送機械
- 建築・不動産
消費者サービスはBtoCのビジネス全般を指すため、宿泊・観光、レジャー・娯楽、生活関連サービス、教育サービスなど幅広い業種が該当するため、志望企業を絞りきれそうにありません。
そうすると、金融、素材・素材加工品は狙い目の業種と言えそうです。


素材・素材加工品の主な分野と企業の例(ChatGPT 5.1で出力)
増えているのは1,000名以上規模

つぎに、どのような規模の会社が情シスの人員を積極的に増やしているのでしょうか?
レポートには企業規模別のデータも掲載されています。
これまで「情シスに転職するなら従業員1,000名以上の企業にすべき」とお伝えしてきましたが、実際にグラフのとおり1,001名以上の規模の企業が積極的に情シス人員を増やしていることがわかります。
1,000名未満の企業の場合、いわゆる「ひとり情シス」でITに関するあらゆる仕事があなた一人の担当になる可能性もあるので、個人的には注意すべきだと思います。

情シスの年収は増加傾向!
続いて、「年収」について見てみましょう。多くの人にとってもっとも関心が高い事項の1つかもしれません。
年収分布は4年間で大幅に増加!

全年齢を対象にした年収の分布を『全国情シス実態調査 2021』と『全国情シス実態調査 2025』で比較すると、特徴として以下のことが言えそうです。
年収分布の変化の特徴
年収の分布は概ね100万円ほどアップしている。
特に年収400万円未満の社内SEが減っている。
ただし、2021年調査は53%が「一般社員〜係長・主任クラス」であるのに対して、2025年調査は同クラスは46%であるため、回答者の役職が調査結果にも影響していることが予想されます。
年代別の社内SE年収分布
年代別で見ると、30代・40代で顕著な年収増が見られます。特に、30代で1000万円以上が約7.5%いる点は注目したい点です。主にコストセンターである情シスであっても正当に評価する企業が増えていることが背景にあるのではないかと思われます。
一方、20代は2021年・2025年とも対象データ件数が少ないため、参考程度にしておく方がよいのではないでしょうか?
なお、レポート本編『全国情シス実態調査 2025』では50代、60代のデータも掲載されていますので、関心のある方はぜひご覧ください。




情シスの担当業務は?
社内SEの年収も気になりますが、実際にどんな業務を行っているのかも同じくらい気になりますよね。
ここでは担当業務の範囲とそのなかでも最も時間を費やしている業務について見ていきます。
課長クラスまでは幅広くカバーが求められる
まず担当業務を見ていきましょう。『全国情シス実態調査 2025』の「ご自身の業務範囲に含まれるものをすべてお答えください」の結果は以下のとおりです。
主な業務範囲として、以下の6つがメイン業務と言えそうです。一般社員クラスから課長クラスまで多少の割合の差はありますが、約80%程度までこれらを担当していることがわかります。
ただし、実際には一般社員クラスと課長クラスで担当レイヤーは異なるはずです。例えば、既存システムのリプレイス案件の場合、一般社員がプロジェクトメンバーとして1つの業務領域を担当し、課長はプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャを務めるイメージがマッチするのではないかと思います。
社内SEのメイン業務
新規システムの導入
既存システムのリプレイス
システム運用・監視
障害対応
社内問い合わせ対応
セキュリティ対策


最も時間を費やしている業務は?

『全国情シス実態調査 2025』では社内SEに「ご自身が日々行っている業務について、直近1年間で最も時間を費やしている業務をお答えください」という質問もしています。
圧倒的に割合が高いのは「既存システムリプレイス」と「社内問い合わせ対応」です。
「設計・構築作業」が10%強という点は注目したいところです。この結果から、内製化が進んでいる情シスは多くないと推察されます。
セキュリティと生成AIがアピール可能!
では、現在情シスで働くITエンジニアはどのようなスキルを習得したいと考えているのでしょうか?
現役の情シスがほしいスキルをあなたが持っていたら、それは魅力的だと評価されることが予想されます。

トップは「生成AIの理解・業務活用スキル」でした。これは2023年以降の傾向として継続しています。具体的には、プロンプト・エンジニアリングだけでなく、生成AIの活用を組織内に浸透させた経験も高く評価されるのではないかと予想できます。
続いて「セキュリティ対策・運用スキル」です。こちらも直近10年ほどは関心の高い分野だと言えます。セキュリティの知識はもちろんですが、CSIRTでのセキュリティ教育やインシデント対応の経験も戦力になると考える組織もありそうです。

情シスが抱える課題は「人材」に集約される
課題の上位はすべて「人材」

『全国情シス実態調査 2025』では情シスが抱える課題についても調査されています。転職を検討されている方は気になりますよね。
実は情シスの社内SEが回答される組織課題の上位は「人材」に関する課題です。
情シスの課題
人員が不足している
人材育成が進んでいない
単純に人員が足りない、そして人材の育成も進んでいない状況であることがわかります。その背景に「中長期のIT戦略がない」「情シスの社内での存在感が低い」という構図が見えてきます。ちなみに、2021年の同調査においても上位は「人材」が2トップでした。
では「人材」問題をどう解決しているか?
では、情報システム部門はどのように「人材」の問題を解決しようとしているのでしょうか?
2010年までの情シスなら「外部委託」が主な手段で、実際にわたしがSIerで働いていたときも多くの大手企業の情シスは生え抜きが多く、そこに外部リソースとしてSIerが入り込む構図でした。
ただ、直近10年くらいはキャリア採用・中途採用にも力を入れています。採用経路は一般公募だけでなく、スカウト型・エージェント型など幅広くなっています。

それだけでなく、社内の他部門のIT人材の異動もあるようで、情シスが人員確保に尽力されていると見受けられますが、「手応えを感じている」と回答したのは半数以下(49.2%)であり、評価が迷われるところですが、まだまだ転職の余地はあるのではないでしょうか?


2021年の同調査で「今後強化すべき、したいと考えている点」に26%が「売上増⼤への直接的な貢献」と回答しました。2025年調査で情シスの課題に「収益への直接的な貢献ができていない」が約28%で、ほぼ横ばいの状態です。
同様に、2021年に「経営陣の理解が得られにくい」と約17%が回答し、2025年に約17%「経営陣とのコミュニケーション不足」を課題に挙げました。
残念ながら、ビジネス価値や社内でのポジションに劇的な変化はなかったのではないかと考えられます。
転職活動の経営陣との最終面接では、「既存の情シスの延長線ではない」ことをアピールするのが良いのかもしれません。
情シスの関心事・注力領域は?
最後に、情シスが今後取り組みたいと考えているテーマ領域について見てみましょう。
結果は多くの人が予想するとおり、「セキュリティ強化」「生成AIの活用」「DX推進」がトップ3でした。転職検討者のイメージが裏付けられた形となります。

上図のとおり「セキュリティ強化」は実際に注力できています。
一方で「生成AIの活用」と「DX推進」については注力できていない組織が4社に1社あることがわかります。同様に「データ活用」「エンドユーザのITリテラシー強化」も重要であるが注力できていないテーマ領域であることがわかります。
転職検討されている方は上記のスキル/経験をアピールすることで、即戦力として選考を優位に進められることが期待できそうですね。
まとめ
この記事ではIIJが毎年実施される『全国情シス実態調査 2025』の調査結果を現役社内SEマネージャで中途採用の選考を行う立場で解説しました。
社内SEの待遇は過去4年間で大幅に改善されていることが推察できました。実際にわたしが働く組織においても、より良い待遇を提示しないと応募が減ってしまうことを実感しています。
一方、情シス側は「人材」に課題を感じており、積極的な採用を行っている構図であることもわかりました。特に、業種別・会社規模別で採用されやすいポイントがわかる『全国情シス実態調査 2025』は非常に有用なレポートだと言えます。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。本記事はIIJ様に転載の許可をいただいたうえで公開しています。より詳しいデータはレポート本編『全国情シス実態調査 2025』をぜひダウンロードしてご確認ください。
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