ホワイトか?ブラックか?社内SE求人の見分け方講座!

社内SEの内定もらったけど、ブラック企業じゃないか心配で踏み出せない……

不安ですよね。
ホワイトかブラックか、4つの切り口で見分け方を解説します。

ブラック企業リストも公開されているので参照方法を解説しますよ

転職前に志望企業がホワイト/ブラックを確認したいなら、つぎの4つの切り口で情報収集しましょう。なお、この記事ではブラック企業の定義は「給与が低いのに長時間労働」「やりがいを感じにくい」「ハラスメントの危機にさらされる」とします。

ホワイト/ブラックの見分けポイント
① 求人情報からわかること
② 会社情報からわかること
③ 外部メディアからわかること
④ 選考段階でわかること

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  • 情報システム部門のマネージャ職
  • 社内SE採用担当歴6年(書類選考、面接)
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目次

求人情報からわかること

まずは求人情報からホワイト/ブラックを見分けていきましょう。

求人情報からは業界の給与水準との差、求人情報を出し続けていないか、業務内容があいまいで入社後トラブルにならないかといった観点で確認が必要です。

業界の給与水準は低くないか?

給与水準が低い業界の社内SEは、総じて年収が低くなりやすいと考えましょう。業界の給与水準は国税庁『民間給与実態統計調査結果』の「業種別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額」を見てみましょう。

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ランキング平均給与が高い業界平均給与が低い業界
1位711万円 電気・ガス・熱供給・水道業288万円 宿泊業・飲食サービス業
2位632万円 金融業・保険業 337万円 農林水産・鉱業
3位587万円 情報通信業374万円 医療・福祉
業種別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額(令和2年調査)の数字を四捨五入

例えば、スキル/経験がまったく同じ2人の人物が給与水準が「高い業界」と「低い業界」にそれぞれ転職したと仮定します。その結果、初任給ですでに差がうまれ、同じ努力をして同じように課長や部長に昇格しても選んだ業界によって昇給にも大きな差がうまれます。

くわしくは『35歳以上が社内SEへの転職で年収アップする方法!決め手は●●選び!』で解説しています。

給与は相場と比べて低くないか?

業界の給与水準が確認できたら、つぎに志望企業の給与が業界の相場から判断して低すぎないか確認しましょう。

志望企業が上場企業の場合、公式WebやEDINETで「有価証券報告書」で年収を確認できるでしょう。「従業員の状況」の欄を見れば平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与が記載されています。これを同業他社の平均と比較しましょう。

志望企業が非上場企業の場合、同規模で上場している企業をみつけると年収の相場をつかめるでしょう。

常に同じ求人情報を発信していないか?

あれっ?この会社、前にも同じ求人を出してた!

何ヶ月も社内SEの求人情報を見ていると、同じ会社が同じ内容で求人を出していることに気づくことがあります。それらは実はつぎの理由のケースが多くあります。

同じ会社が同じ求人を出し続ける理由
① 求人を出したが応募がない
② 応募はあったが求めるレベルを下回り落とした
③ 入社したがすぐに辞めた
④ 採用したが慢性的にそのポジションが足りない

①〜③のケースはどれも歓迎できませんね。魅力的な案件なら枠はすぐに埋まるので、④のケースは求人に魅力がないと言えます。

一人情シスではないか?

「一人情シス」とは、1人で情報システム部門に求められるすべての仕事をこなすことを指す俗語です。

一人情シスはPCトラブル対応やネットワークやサーバの運用、システム選定・導入、ツール開発、セキュリティ対策まで幅広く対応する必要があります。そのため一人情シスは多忙で休みがとりにくい状態になりやすいと言えます。

IIJの調べによると、従業員100名未満の会社だと40%が一人情シス状態、100-500名の規模でも20%を超えています。詳しくは『【転職前必見】情報システム部門の実態調査からわかる転職の狙い目!』で解説していますが、一人情シスを避けたいなら500名以上の企業規模を狙うべきでしょう。

業務内容は明確か?

求人情報に掲載されている業務内容があいまいだと、入社後に想定外のアサインをされて「こんなはずじゃなかった!」と後悔する可能性があります。例えば、つぎのよう表現には注意が必要です。

業務内容があいまいな求人の特徴
① ●●全般をお願いします
② すべてお任せします・裁量権があります
③ よくわからないカタカナ言葉

外部委託されやすい業務ではないか?

求人の内容が情報システム部門の中で外部委託されやすい領域の場合、近い将来仕事がなくなる可能性があるため、注意が必要です。

例えば、アウトソーシングしている業務のTOP3は「システム運用・監視」「障害対応」「PC管理・キッティング」と言われています。詳しくは『【転職前必見】情報システム部門の実態調査からわかる転職の狙い目!』でアウトソーシングされにくい業務と合わせて解説しています。

会社情報からわかること

続いて、会社情報からホワイト/ブラックを見分けていきましょう。会社情報は志望企業の公式Webサイト、上場企業なら有価証券報告書を参照します。

事業の将来性はあるか?

事業に将来性がないと、その会社は徐々に経営が苦しくなり、社内SEの待遇は悪化します。情報システム部門はコストセンターであると認識されているからです。

事業の将来性
① 業界シェアは高いか?
② 売上高・営業利益は増えているか?
③ 参入障壁は高いか?

例えば、志望企業が業界内で高いシェアを占める製品・サービスを有し、売上高や本業の儲けを示す営業利益が増収増益であれば安心材料になります。

さらに、業界への参入障壁が高い(法律や先行者利益によって守られる)状態であれば、なおさら安心できます。

従業員数は増えているか?

事業に将来性があり、増収増益であれば基本的に従業員数は増えていきます。

事業に将来性があるのに従業員数が増えない場合は、入社人数より退職者数が上回っている状態で、ビジネス面以外に問題を抱えている可能性があります。

例えば、「過剰な債務がある」「ハラスメントが横行している」「独特の文化で中途入社者が入り込みにくい」といった問題がないか調べておく方がよいでしょう。

求人の年収は会社の平均年収と比較して低くないか?

「求人の年収」は必ず「有価証券報告書の会社全体の平均年収」と比較しておきましょう。会社によっては、営業や開発は高年収で、社内SEや総務・経理は低年収というケースがあるからです。

求人の年収は「400万円〜1,200万円(前職の年収を勘案)」というように幅が大きいケースが一般的であるため、正確にこの問題を把握するには志望企業側から年収の提示を受ける必要があります。

年収が提示されるところまで選考段階を進まないといけないのがつらいところです……でも非常に重要なポイントです

ちなみに、年収への満足度は「他人との比較」で決まる面があります。つまり、年収が1,000万円でも同僚が1,200万円だと不満を感じ、年収が900万円で同僚が800万円の方が満足するんです。それゆえ、社内の平均年収との比較は重要なポイントです。

CIO・CDOの役職はあるか?

志望企業の執行役員にCIO(Chief Information Officer)やCDO(Chief Digital Officer)があるかどうかは、その企業がITを経営の重要なポジションと考えているかを判断するポイントの1つです。

志望企業の公式Webサイトに掲載されている組織図や体制図をよくチェックしましょう。

CIOやCDOがない企業では、情報システム部門は総務部門の1つとして扱われる可能性があります。情シスが総務部内の課の扱いであれば、転職後にあなたがどれだけがんばってもエンジニアとしては課長止まりになる可能性が高まります。

一方、情シスが部や本部の扱いであれば、部長や本部長になれる可能性が高まります。CIOやCDOの役職があるのに情シスが課の扱いというケースはほぼないと考えてよいでしょう。

外部メディアからわかること

つぎに外部メディアの情報からホワイト/ブラックを見分けていきましょう。

ブラック企業リストに載っていないか?

ブラック企業リスト!気になってたんです。
どこが発表してるんですか?

厚生労働省の公式情報を掲載しています

ブラック企業リストは『労働基準関係法令違反に係る公表事案』に掲載された内容を検索できる仕組みです。

ブラック企業リスト

各地域の労働局からどのような理由で処分を受けたかも具体的に掲載されています。例えば以下のような理由です。

  • 労働者2名に対して、適法に締結された36協定なく、違法な時間外労働を行わせた
  • 労働者2名に対して、7か月分の定期賃金約72万円を支払わなかったもの

『しょくばらぼ』で人的資本の開示項目を調べよう

上場企業は人的資本の情報開示が2023年3月期から義務付けられたことにともない、企業側は積極的に情報開示することで人材を確保しようとする動きがあります。

厚生労働省の『しょくばらぼ』で企業名をすると、女性管理職比率や、残業時間、男女別の育児休暇取得率、有給休暇消化率、また休暇取得の促進のための措置内容などが公開されています。

なかには公開していない企業もありますが、公開していないことも含めブラックではないかの重要な判断要素の1つにできます。

会社名、社長名でグレーな噂はないか?

Twitterやブログに会社名、社長名でグレー(あるいはブラック)な情報がないかもチェックしておく方がよいでしょう。

例えば、違法な時間外労働やハラスメントが告発されているケースがあります。これらの情報は匿名であるため、真偽は半々程度と考えるべきですが、重要な情報の1つと言えます。

転職クチコミサイトの評判はどうか?

転職クチコミサイトには「残業が多い」「まっとうに評価されない」「企業文化が合わない」など主に退職者と思われる人からのクチコミが掲載されています。

業務内容があいまいな求人の特徴
転職会議
OpenWork
enライトハウス
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注意したいのは、転職クチコミサイトは退職時に投稿されることが多いため、ネガティブな情報が目立つという点です。ひとつの意見に誘導されてしまわないように、なるべくニュートラルに、オープンに情報収集することをおすすめします。

事例インタビューでの経営者や情シス責任者の発言は?

ネット上には志望企業がとあるシステムを導入した事例のインタビューや経営者のインタビューが掲載されることがあります。

もしも見つけることができたら、そこでの発言はぜひチェックしておきましょう。これはホワイト/ブラックを見分けるだけでなく、面接での話題にも使えます。

インタビュー内で経営理念、会社の様子、働き方への考え方、IT投資への姿勢、情シスの負荷状況を推し量ることができます。

選考段階でわかること

最後に、選考段階のやりとりや面接での対応からホワイト/ブラックを見分けましょう。

高圧的・事務的・お役所的やりとりはないか?

面接日程の調整や面接での応対が高圧的だったり、お役所的だったりしたら、警戒しましょう。特に面接官の中でも現場責任者(例 情報システム部長・課長)は将来のあなたの上司にあたりますのでよく観察しておきましょう。

ハラスメントが横行している職場や仕事に熱意のない職場の人は自分では気づかなくても、わたしたち外部の人間の目で見たら、それらの兆候をつかみとれる場合があります。

あなたのスキル/経験を評価してくれるか?

面接でスキル/経験に関する質問がほとんどなかったのに内定が出ました。応募書類だけで十分評価されたと考えていいでしょうか?

志望企業があなたのスキル/経験にあまり興味を示さないのに内定を出す場合、志望企業側はあなたの「マンパワー」に期待しているだけで、だれでもできる仕事をアサインするつもりかもしれません。

実際に、スキル/経験がなくてもできる仕事にアサインするつもりなら、面接で評価するのは人柄だけです。

待遇の質問をしたときの反応はどうか?

給与や待遇について質問するのは勇気が必要です。でも35歳以上となると、転職後の仕事内容と同じくらい給与・待遇も重要な要素の1つですので、礼節をもって質問するべきでしょう。

給与・待遇について質問した途端に態度が変わるようなら警戒が必要です。求人企業側は安くで労働力を手に入れたいだけの場合があります。

ホワイト/ブラック判定に転職エージェントを活用する

社内SE業界にくわしいアドバイザーを活用しよう

もしもあなたが転職エージェント(特に社内SE業界に詳しいアドバイザー)を利用していない場合、ホワイト/ブラックを判定するためにも転職エージェントの利用をおすすめします。

まともな転職エージェントのアドバイザーは各企業の特色や求める人材像を把握しているので、あなたが転職に求めること(転職の軸)を伝えたら、志望企業とマッチする/しないとアドバイスしてくれます。

ブラック企業に押し込まれないコツ

転職エージェントってホワイトでもブラックでも無理やり転職させようとしない?

そういった悪質なアドバイザーを避けるために「おかしな案件を紹介したら入社直前でも辞退するぞ」という強い意志を示しておきましょう

実際に入社直前に辞退されたら、転職エージェントは求人企業との信頼関係に関わるため、この強い意志が伝わればいいかげんな求人はあなたに紹介しません。

さらに「複数の転職エージェントを使っている」ということも早い段階で伝えましょう

複数の転職エージェントを使うことは大原則です。ひとつの転職エージェントとだけやりとりをしていると、情報の非対称性(つまり求人情報を多数持っているアドバイザーとほんの一部しか知らないあなたの格差)を悪用されてしまうリスクがあります。

複数登録することで、「いいかげんな対応をしたら、よそのアドバイザーに獲られてしまう」と適度な緊張感をアドバイザーに持ってもらうことが重要です。

まとめ

この記事では、選考段階や内定後に志望企業がブラックではないかと心配になった場合のホワイト/ブラックの見分け方について解説しました。

① 求人情報からわかること
・業界の給与水準は低くないか?
・給与は相場と比べて低くないか?
・常に同じ求人情報を発信していないか?
・一人情シスではないか?
・業務内容は明確か?
・外部委託されやすい業務ではないか?

② 会社情報からわかること
・事業の将来性はあるか?
・従業員数は増えているか?
・求人の年収は会社の平均年収と比較して低くないか?
・CIO・CDOの役職はあるか?

③ 外部メディアからわかること
・ブラック企業リストに載っていないか?
・会社名、社長名でグレーな噂はないか?
・転職クチコミサイトの評判はどうか?
・事例インタビューでの経営者や情シス責任者の発言は?

④ 選考段階でわかること
・高圧的・事務的・お役所的やりとりはないか?
・あなたのスキル/経験を評価してくれるか?
・待遇の質問をしたときの反応はどうか?

転職エージェントを使っていない場合は、社内SE業界に詳しいアドバイザーから志望企業について聞いてみることをおすすめします。転職エージェントは現時点で転職の意思がなくても利用できます。

「ホワイトですか?」とぼんやり聞くのではなく、あなたが転職で譲れない条件(=転職の軸)を示しながら、それにマッチするか聞く方が具体的な回答がもらいやすくなります。

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