独立系SIerランキング!気になるメリットや将来性を解説

親会社がない独立系SIerって、実際のところ働きやすいの?

SIerを4タイプに分類したとき、もっとも企業数が多く、もっとも“当たり外れ”が大きいのが独立系SIerです。年収1,000万円を超える会社もあれば、多重下請けの下のほうで消耗している会社もあります。

今回はおもな独立系SIerを調査しました。売上高や平均年収だけでなく、営業利益率(=本当に稼げているか)や残業時間、有給休暇消化率といったホワイト度合いもランキング形式で紹介します。

独立系は「会社選びがすべて」と言ってもいい領域です。見るべき指標をこの記事で押さえてください

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目次

独立系SIerとは?

独立系SIerとは?

SIerとはシステムインテグレーターの略で、システムの要件定義、設計・開発、保守までを請け負う企業を指します。

そのなかでも、特定のメーカーや事業会社の資本に強く影響されない=どこのグループにも属していないSIerを独立系SIerと呼びます。メーカー系のように「自社製品を売る」使命もなければ、ユーザー系のように「親会社の仕事」もありません。

代表的な独立系SIerには、大塚商会、TIS、BIPROGY、富士ソフト、DTSなどがあります。

親会社という後ろ盾がないため、受注のすべてを自力の営業で獲ってくる必要があるのが最大の特徴です。裏を返せば、提案する製品や技術に制約がなく、顧客の課題に対してフラットに最適解を選べる立場でもあります。

種類概要企業例
メーカー系SIerコンピュータハードウェアメーカー、あるいはその資本が入った子会社。

親会社が受注した案件のなかのシステム開発部分、システム保守部分を請け負う。
富士通
富士通エフサス
NEC
NECソリューションイノベータ
日立製作所
日立ソリューションズ
ユーザー系SIer事業会社のシステム子会社。

事業会社の情報システム部門が子会社化してできたもので、親会社やグループ企業のシステム導入や開発、保守を行う。

親会社以外にもサービスを販売する(”外販”)ケースが多い。
NTTデータ
伊藤忠テクノソリューションズ
SCSK
三菱UFJインフォメーション・テクノロジー
ニッセイ情報テクノロジー
独立系SIerどこの資本にも強く影響されない・属さないSIer。

メーカー系でもユーザー系でもないため、当然親会社から仕事を受注することはない。一方で、「このハードで提案しないといけない」などの制約は少ない。
大塚商会
TIS
ネットワンシステムズ
富士ソフト
コンサル系SIer総合コンサルファームやいわゆる”総合研究所”と名のつく会社のシステム部隊。システム企画や要求分析といった上流を受注したコンサルファームが、そのまま設計や実装やテストといった下流工程も担当するケースが直近10年程度は増えているアクセンチュア
野村総合研究所
日本総合研究所
アビームコンサルティング
SIerの種類

業務内容

独立系SIerの業務範囲は、基本的に他のSIerと変わりません。要件定義から開発、保守・運用までを請け負います。

ただし、案件の「入り方」が決定的に違います

ユーザー系やメーカー系には「黙っていても回ってくる仕事」が一定数ありますが、独立系にはありません。自社で提案し、コンペで勝ち、受注する。この一連のサイクルが会社の生命線となります。

そのため、独立系SIerは大きく次の3タイプに分かれます。転職先を選ぶときは、まず志望企業がどのタイプかを見極めてください。

タイプ特徴向いている人
① 元請け型(プライム)エンドユーザーと直接契約し、要件定義から担当する。自社で商材・ソリューションを持つ会社も多い。上流工程や顧客折衝を経験したい人
② 特定領域特化型金融、製造、テスト、セキュリティなど特定分野に強みを持つ。技術・業務知識の専門性が高い。専門性でキャリアを作りたい人
③ 二次請け・SES型大手SIerから開発工程を請け負う、または技術者を客先に常駐させる。まず実務経験を積みたい人(ただし長居は要注意)
独立系SIerの3タイプ

採用面接で「御社の元請け比率(直販比率)はどのくらいですか?」と聞ける人は、聞いてみると業界における立ち位置が見えてきます


独立系SIerのメリット

メリット① 製品・技術の縛りがなく、提案の自由度が高い

メーカー系SIerでは、顧客の課題解決のために自社製品を中心に提案する場面が散見されます。本来はオープンに最適な手段を提案すべきですし、他社製品の知識が得られないというデメリットもあります。

一方、独立系SIerは特定ベンダーに縛られない「ベンダーフリー」の立場です。クラウドもオンプレミスも、国産パッケージも外資SaaSも、フラットに比較して組み合わせられます。

エンジニアにとっては、扱える技術の幅がそのままキャリアの幅になります。特定製品の専門家としてキャリアを終えるリスクが小さいのは、地味ですが大きなメリットです。

メリット② 幅広い業界の案件を経験できる

ユーザー系SIerの場合、内販の比率が高いと「親会社の業界のことしか知らない」という状態になりがちです。

独立系SIerは顧客を自力で開拓するため、金融、製造、流通、医療、公共など、複数業界のシステムに関われる可能性が高いと言えます。

これは転職市場での価値に直結します。「製造業の生産管理も、小売のPOS連携もやった」というエンジニアは、事業会社の情シス採用でも重宝されます。わたし自身、採用担当として書類を見ていても、業界横断の経験がある方は面接に呼ぶ確率が上がります。

メリット③ 実力主義で、若手でも上流やリーダーを任されやすい

親会社からの出向役員がポストを埋めやすいユーザー系・メーカー系と違い、独立系は生え抜きのプロパー社員が経営層まで上がっていく会社が大半です。

そのため昇進・昇格のスピードが早く、20代後半〜30代前半でPLやPMを任されるケースも珍しくありません。成果主義の給与制度を採用している企業も多く、若いうちから年収を伸ばしたい人には有利な環境です。

20代〜30代前半の成長機会を重視するなら、社内SEよりSIerですし、SIerのなかでも独立系はさらにその機会に恵まれやすいと言えます。

メリット④ 稼いでいる会社は、年収も高い

「独立系は年収が低い」というイメージを持つ人は多いですが、これは会社によります

後述のランキングのとおり、独立系のトップ層は平均年収900万〜1,100万円台に達します。親会社のグループ給与テーブルに縛られないぶん、儲かっている会社は素直に社員へ還元できる、という構図です。

一方で、下請け比率の高い中小企業は500万円台にとどまります。**「独立系だから低い」のではなく、「稼げていない独立系が低い」**というのが実態です。


独立系SIerのデメリット

デメリット① 安定した内販がなく、業績が振れやすい

ユーザー系・メーカー系SIerの最大の武器は、親会社という安定顧客です。独立系にはそれがありません。

景気後退やIT投資の抑制が起きたとき、受注が直接的に減るのが独立系の弱点です。とくに特定の大口顧客への依存度が高い会社は、その顧客のIT投資方針ひとつで業績が大きく揺れます。

企業研究では、有価証券報告書の「主要な顧客」や売上構成の注記を確認し、特定顧客への依存度が高すぎないかを必ずチェックしてください。

デメリット② 下請けに入ると、上流工程を経験しにくい

独立系SIerのすべてが元請けというわけではありません。大手SIerから開発工程だけを請け負う二次請け・三次請けの会社も数多く存在します。

多重下請け構造の下層に入ると、以下のデメリットが出ます。

  • 要件定義や設計の意思決定に関われない
  • 仕様変更のしわ寄せが納期に直撃する
  • 単価が抜かれるため、年収が上がりにくい

「独立系SIerはやめとけ」と言われる理由のほとんどは、この下請けポジションの話です。独立系という分類そのものの問題ではありません。

デメリット③ 客先常駐が多く、自社への帰属意識を持ちにくい

常駐中心の働き方は、社外の人脈が広がるメリットがある一方で、

  • 自社の同僚や上司と顔を合わせない
  • 評価が常駐先の状況に左右される
  • 帰属意識が薄れ、離職につながりやすい

というデメリットがあります。求人票の「勤務地:プロジェクトによる」「客先常駐あり」の記載は、面接で必ず突っ込んで確認しましょう。

「常駐比率は何%ですか?」「自社内開発の案件はありますか?」は遠慮せずに聞いてOKです

デメリット④ 企業規模による年収差が非常に大きい

同じ「独立系SIer」でも、平均年収1,129万円の会社と500万円台の会社が同居しています。差は倍以上です。つまり「会社選びがすべて」の世界だと考えてください。

さらに平均値だと、SIerの4分類のなかではもっとも低い位置にいるのも事実です。

SIerタイプ別の平均年収
SIerタイプ別の平均年収

独立系SIerの将来性

市場は伸びるが、「元請けできる会社」と「それ以外」に二極化する

DX推進、基幹システムの刷新、クラウド移行、生成AIの業務実装——システム開発の需要そのものは当面減りません。IT人材不足も続いており、市場環境は独立系SIerにとって追い風です。

ただし、その恩恵が全社に等しく届くわけではありません。

顧客企業側は「業務を理解して提案できるパートナー」を求めており、単純な人月提供の価値は下がり続けています。上流から入れる会社は単価が上がり、工数を売るだけの会社は買い叩かれるという二極化は、今後さらに進むと見ています。

営業利益率のランキングを後述しますが、これは独立系にとって「自力で稼げているか」を映す、もっとも正直な指標です。企業研究では売上高よりも利益率を重視してください。

【内部リンク:SIer業界そのものの将来性が気になる方はこちら】
SIerはオワコンか?今後の将来性はあるか?業界20年以上の視点で解説


ランキング

ではおもな独立系SIerのランキングを見てみましょう

売上高ランキング

抽出方法
・国内のシステムインテグレーション事業を主力とする独立系企業が対象
・有価証券報告書または決算公告の「売上高」「営業利益」を抽出

スクロールできます
順位会社名売上高営業利益率
株式会社大塚商会1兆3,227億円6.8%
TIS株式会社5,965億円12.8%
BIPROGY株式会社4,337億円9.8%
トランスコスモス株式会社3,939億円4.2%
富士ソフト株式会社3,175億円6.9%
6日本ビジネスシステムズ株式会社1,726億円4.4%
7株式会社オービック1,352億円65.7%
8株式会社DTS1,352億円12.1%
9株式会社SHIFT1,298億円12.0%
10株式会社NSD1,178億円16.2%
11都築電気株式会社1,037億円7.9%
12株式会社システナ944億円16.3%
13株式会社TKC835億円19.3%
14フューチャー株式会社760億円21.3%
15JBCCホールディングス株式会社760億円9.6%
16テクマトリックス株式会社717億円10.8%
17株式会社シーイーシー659億円11.1%
18シンプレクス・ホールディングス株式会社587億円24.5%
19SRAホールディングス株式会社533億円15.5%
20株式会社NSW524億円10.1%
21コムチュア株式会社381億円12.2%
22株式会社コア265億円14.4%
23ビジネスエンジニアリング株式会社244億円26.3%
24株式会社アイエックス・ナレッジ244億円9.1%
25株式会社クロスキャット173億円11.6%
独立系SIer売上高ランキング(2026年9月時点/出典:各社有価証券報告書・決算短信)

1兆円を超えた大塚商会が頭ひとつ抜けています。ただし大塚商会は複合機やOA機器の販売・保守を含むビジネスモデルなので、「SIerとしての規模」で見るならTIS、BIPROGYが実質的なトップと考えるのが実態に近いでしょう。

営業利益率ランキング

独立系SIerにとって、売上規模より重要なのが利益率です。親会社の仕事がない独立系にとって、営業利益率は「自力でどれだけ高く売れているか」を示すスコアそのものだからです。

抽出方法
・上記の売上高トップ25社を営業利益率順に並び替え

スクロールできます
順位会社名営業利益率売上高
株式会社オービック65.7%1,352億円
ビジネスエンジニアリング株式会社26.3%244億円
シンプレクス・ホールディングス株式会社24.5%587億円
フューチャー株式会社21.3%760億円
株式会社TKC19.3%835億円
6株式会社システナ16.3%944億円
7株式会社NSD16.2%1,178億円
8SRAホールディングス株式会社15.5%533億円
9株式会社コア14.4%265億円
10TIS株式会社12.8%5,965億円
11コムチュア株式会社12.2%381億円
12株式会社DTS12.1%1,352億円
13株式会社SHIFT12.0%1,298億円
14株式会社クロスキャット11.6%173億円
15株式会社シーイーシー11.1%659億円
独立系SIer営業利益率ランキング(2026年9月時点/出典:各社有価証券報告書・決算短信)

オービックの65.7%は、日本の上場企業全体でも屈指の水準です。自社ERP「OBIC7」を直販・自社開発・自社保守で一気通貫させ、下請けに出さないビジネスモデルが効いています。

注目したいのは、利益率の高い会社の多くが「自社パッケージ、業界特化の業務知識、テスト専門ノウハウなど、人月を売るだけではない武器がある点です。その武器がそのまま高利益率=高年収につながっています。

売上高だけで決めるのではなく、その企業の強みが今後も続きそうか、という視点でチェックしたいですね!

年収ランキング

【メモボックス:抽出方法】
・有価証券報告書の「平均年間給与」「平均年齢」を抽出(日経会社情報掲載値)
・持株会社体制の企業は、持株会社単体の数値である点に注意(※印)

スクロールできます
順位会社名平均年収平均年齢
株式会社オービック1,129万円35.8歳
株式会社大塚商会1,028万円42.0歳
都築電気株式会社940万円43.2歳
シンプレクス・ホールディングス株式会社939万円33.6歳
株式会社TKC921万円40.3歳
6ビジネスエンジニアリング株式会社915万円40.3歳
7BIPROGY株式会社885万円46.3歳
8テクマトリックス株式会社846万円38.0歳
9TIS株式会社829万円40.6歳
10フューチャー株式会社 ※795万円36.5歳
11株式会社NSD751万円39.2歳
12コムチュア株式会社700万円35.5歳
13株式会社SHIFT685万円38.0歳
14株式会社DTS659万円39.7歳
15株式会社NSW649万円41.3歳
16日本ビジネスシステムズ株式会社642万円35.4歳
17株式会社シーイーシー640万円38.7歳
18富士ソフト株式会社640万円
19株式会社アイエックス・ナレッジ609万円39.2歳
20株式会社クロスキャット573万円36.5歳
21株式会社システナ519万円31.2歳
22トランスコスモス株式会社499万円37.5歳
独立系SIer平均年収ランキング(2026年9月時点/出典:各社有価証券報告書)

トップのオービックと最下位の差は約630万円。同じ「独立系SIer」でこれだけ開きます。

なお、システナやトランスコスモスのように平均年齢が若い/職種構成が幅広い会社は、平均年収が低く出やすいという点には注意してください。

単純比較ではなく、「平均年齢」とセットで見てくださいね

ホワイトランキング

年収だけでなく、働きやすさも重要です。残業時間・有給休暇消化率とクチコミ評価を合算したホワイト度で比較します。

抽出方法
OpenWorkの「待遇面の満足度」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「人事評価の適正感」を合算。残業時間と有給休暇消化率を加味してスコアを算出

スクロールできます
順位会社名残業時間有給休暇
取得率
ホワイト度
株式会社SHIFT19.4時間70.5%30.4
BIPROGY株式会社21.6時間71.2%28.3
株式会社アグレックス19.9時間63.5%28.2
都築電気株式会社32.6時間82.6%28.1
TIS株式会社27.3時間64.9%27.6
6株式会社システナ19.7時間66.8%27.5
7テクマトリックス株式会社28.0時間56.7%26.3
8富士ソフト株式会社24.8時間70.0%26.1
9株式会社インテック24.7時間58.2%25.9
10トランスコスモス株式会社20.6時間74.1%25.8
11株式会社大塚商会22.4
独立系SIerホワイトランキング(出典:OpenWork)

BIPROGY、TIS、都築電気といった歴史のある大手・中堅は、有給取得率が70〜80%台と高く、労務管理が行き届いている印象です。

なお、残業時間が短い=ホワイトとは限りません。常駐先の労働時間が自社集計に反映されないケースもあります。クチコミの「人事評価の適正感」や「風通しの良さ」まで含めて総合的に見てください。


独立系SIer企業一覧【タイプ別】

「独立系SIerの企業一覧が知りたい」という方向けに、特徴別に整理しました。志望企業の立ち位置を確認する際にお使いください。

総合型・大手

企業名特徴
株式会社大塚商会売上1兆円超。中堅・中小企業向けの「たのめーる」やOA機器を含む複合型。顧客基盤が圧倒的
TIS株式会社独立系SI最大手クラス。金融・決済に強く、インテック、アグレックスなどを擁するTISインテックグループの中核
BIPROGY株式会社旧・日本ユニシス。金融、公共、流通に強い。有給取得率・勤続年数が高くホワイト志向に人気
富士ソフト株式会社組込み・業務系の両輪。2025年5月に上場廃止(KKR傘下)
トランスコスモス株式会社BPO/コンタクトセンターを含む大規模オペレーション企業
日本ビジネスシステムズ株式会社Microsoft領域に特化。クラウド移行案件に強み
株式会社DTS金融・通信の大規模開発に強い。売上1,300億円規模
株式会社SHIFTソフトウェアテスト/品質保証に特化。急成長企業
株式会社NSD高利益率(16%台)。金融系の元請け案件が多い

中堅・専門特化型

企業名特徴
株式会社システナ組込みから業務系、クラウドまで幅広い。若手比率が高い
テクマトリックス株式会社ネットワークセキュリティと医療ITの2本柱
株式会社シーイーシー製造業向けシステムとITアウトソーシングに強み
株式会社NSW組込み・IoT領域に実績
コムチュア株式会社クラウド/データ活用領域に特化した高成長企業
SRAホールディングス株式会社オープンソース・先端技術に強い老舗
株式会社コア組込み・モバイル領域の老舗独立系
株式会社クロスキャット金融・公共向けに強い中堅
株式会社アイエックス・ナレッジ金融系を中心とした受託開発
都築電気株式会社ネットワーク・情報通信インフラの構築に強み。平均年収940万円
JBCCホールディングス株式会社中堅企業向けのクラウド・セキュリティ

高収益・コンサル寄り(年収水準が高い)

企業名特徴
株式会社オービック自社ERP「OBIC7」の直販・一気通貫モデル。営業利益率65%超、平均年収1,129万円
シンプレクス・ホールディングス株式会社金融フロント領域の専門集団。初任給42.5万円
フューチャー株式会社ITコンサルティング色が強い。上流から一貫して支援
株式会社TKC会計事務所・地方公共団体向けのシステムサービス
ビジネスエンジニアリング株式会社生産管理パッケージ「mcframe」を持つ製造業特化

失敗しない独立系SIerの選び方【5つのチェックポイント】

独立系は当たり外れが大きい、と繰り返し書いてきました。では何を見ればいいのか。採用担当としての視点も含めて、5つに絞ります。

① 営業利益率が10%を超えているか

独立系にとって利益率は「自力で高く売れているか」の証明です。目安は10%。これを下回る場合、下請け比率が高いか、価格競争に巻き込まれている可能性があります。

② 元請け(プライム)比率が高いか

決算説明資料やIR資料に「直販比率」「プライム比率」が記載されている会社もあります。記載がなければ、面接で率直に聞いてしまいましょう。上流工程を経験できるかどうかは、この一点にかかっています。

③ 自社の“武器”があるか

自社パッケージ、業界特化の業務知識、特定技術の専門性——なんらかの武器を持つ会社は、単価も年収も安定します。「何でもやります」という会社ほど、下請けになりやすい傾向があります。

④ 客先常駐の比率はどのくらいか

常駐そのものが悪いわけではありません。ただし常駐100%の会社は、実質的にSES企業です。「SIerに転職したつもりが、実態はSESだった」というミスマッチは、わたしが採用面接で最もよく聞く失敗談のひとつです。

⑤ 資本構成と、特定顧客への依存度

有価証券報告書の「事業等のリスク」には、顧客集中リスクが記載されています。売上の3割以上を1社に依存しているような構造は、その顧客の方針転換で一気に傾く可能性があります。

あわせて大株主の構成も見ておきましょう。創業家や資産管理会社が大株主で、かつ現預金が厚い企業は、買収提案の対象になりやすい傾向があります。


よくある質問(FAQ)

Q. 独立系SIerは「やめとけ」と言われるのはなぜ?

多重下請け構造の下層に位置する企業では、上流工程を経験できない、納期がタイトになる、単価が抜かれて年収が上がりにくい、といったデメリットが出やすいためです。独立系という分類の問題ではなく、下請けポジションの問題です。元請け比率の高い企業を選べば、これらの多くは回避できます。

Q. 独立系SIerとSESの違いは?

SIerはシステムの完成責任を負って請け負う(請負契約)のに対し、SESは技術者の労働時間を提供する(準委任契約)のが基本です。ただし実態として、独立系SIerを名乗りながらSES中心の企業も存在します。契約形態と常駐比率を確認してください。

Q. 未経験や第二新卒でも独立系SIerに入れる?

入れます。むしろ独立系は中途採用の門戸が広く、ポテンシャル採用の枠を設けている企業も多くあります。ただし、入りやすい会社=下請け比率の高い会社であるケースもあるため、入社後のキャリアパスまで確認しましょう。

Q. 独立系SIerからのキャリアパスは?

幅広い業界・技術を経験できるため、事業会社の社内SE(情シス)への転職と相性が良いのが特徴です。特定製品や特定業界に閉じていないぶん、転職先の選択肢は広くなります。わたし自身も採用側として、独立系SIer出身の方を多く面接してきました。

Q. 独立系SIerの優良企業の見分け方は?

本記事の「5つのチェックポイント」のとおり、①営業利益率10%超、②元請け比率、③自社の武器、④常駐比率、⑤資本構成と顧客依存度の5点です。売上規模だけで判断しないことが、独立系においては特に重要です。


まとめ

独立系SIerは、親会社の制約がないぶん技術選択の自由度が高く、幅広い業界を経験でき、実力次第で若いうちから年収を伸ばせる環境です。

一方で、安定した内販がなく、下請けポジションに入ると上流工程を経験しにくいという明確なデメリットもあります。同じ「独立系SIer」というくくりの中に、平均年収1,129万円の会社と500万円台の会社が同居している——この事実が、独立系の本質をよく表しています。

さらに近年は、ネットワンシステムズのSCSKによる吸収合併、富士ソフトのファンド傘下入りと、「独立系」という枠そのものが動いている時期でもあります。会社を選ぶときは、業績だけでなく資本構成まで見ておいて損はありません。

だからこそ、会社選びに手間をかける価値があります。売上高ではなく営業利益率を、求人数ではなく元請け比率を見てください。

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