高倍率社内SEへの転職は採用担当者の立場で考えると難易度が下がる!
職務経歴書に『React』は見つけましたが、『HTML』の記載がなかったので書類選考で落としました
作るもの・作る人・作り方から学ぶ採用・人事採用者のためのITエンジニアリングの基本がわかる本(Kindle P.4)翔泳社
見た瞬間、震えましたがウソのようで本当の話です
社内SEへの転職で70〜80%は書類で落とされると言われています。しかも、人気企業ほど書類選考を非ITエンジニア(人事部門)が担当しているケースがあります。すべての書類を情報システム部門が見ていられないからです。
エンジニアじゃないのに、わたしの経歴なんて評価できるんですか?
非ITエンジニアの採用担当者は必死でITエンジニアの募集方法や選考方法を勉強しているんです。ITエンジニアの中途採用は、企業の経営課題の解決に直結するのでみんな必死です。
実は、そんな非ITエンジニアの採用担当者が必死に読んでいる本があるんです。それが『作るもの・作る人・作り方から学ぶ採用・人事採用者のためのITエンジニアリングの基本がわかる本』、非ITエンジニア向けに書かれたITエンジニアの採用本です。
求職者側がこの本を読むメリットは、採用担当者の視点に立って書類選考や面接の対策ができるところです。この記事では本書のポイントを絞って紹介して、最後に現役の社内SE採用担当者(非ITエンジニアではありませんが)の視点で補足解説をします。
- ITエンジニア職の中途採用を担当(書類選考、面接)
- 文系大卒業後、国内大手SIerに就職
- MBAでマネジメントやHR領域を学ぶ
- 35歳をすぎて倍率200倍の私立大学職員へ転職成功
- 情報システム部門で管理職&プロジェクトマネージャ
社内SEの転職事情に詳しいアドバイザーに相談して自己紹介やキャリアの棚卸しをサポートしてもらいましょう。また、カジュアル面談を通じてより良い案件をアドバイザーから聞き出しましょう。
転職エージェントができるアドバイス
1. 志望企業の情報システム部門が求める人材像
2. あなたのスキル/経験のうち、市場価値が高い部分がどこか
3. 社内SEの中途採用の面接対策
本書の結論
社内SEへの転職を目指す方が本書から学べる点をざっくりお伝えすると、「情報システム部長との面接をイメージする前に、要件定義をするように書類選考・一次面接に臨もう」という点です。
これだけだとわからないので、もう少し詳しく紹介します。
本書から学べるポイント
① 採用の第一関門は人事の採用担当者である
② しかも情シスの募集要件を正確に把握していないケースがある
③ それをひも解きながら、あなたのスキル/経験をアピールする
④ 情シスとの面接にも使える段階的に詳細化した応募書類を用意する
募集要件を正確に把握してないとか、ちょっとひどいなあ…
たしかに…
でもそれをひも解くプロセスこそ、社内SEに求められる能力の1つでもあるので、ある意味で合理的な選考かもしれません。
転職したら、毎日のようにやりとりするのは業務部門の非ITエンジニアです。つまり「転職後に活躍できるかを書類選考/一次面接の段階で人事部門は評価しているんだ」くらいの気持ちで臨む方がよいでしょう。
本書の構成
本書は「非ITエンジニアだけど、ITエンジニアを採用する人」向けに書かれています。Amazonの評価は4.5で、152件のレビューが投稿されています。(2022年5月時点)
本書は以下の構成は以下のとおりです
本書の目次構成
<基礎編>
第1章 なぜエンジニアリングを学習する必要があるのか?
第2章 作るものから学ぶ
第3章 作る人から学ぶ
第4章 作り方から学ぶ
<応用編>
第5章 エンジニアリング知識を採用業務に応用する
第6章 学びを深め、学び続けるために
あなたが未経験から社内SEへの転職を目指す場合すべてに目を通すべきですが、現在SIerやSESで実務経験がある場合は、バッサリと2〜4章は捨ててオッケーです。
なぜなら、2〜4章は非ITエンジニア向けにシステム開発言語や開発手法、プロジェクト内の役割などが解説されてるパートだからです。大事なのは1章と5章です。この記事ではここのポイントを深掘りしていきます。
ポイント① 採用担当はIT用語に詳しくない
職務経歴書に『React』は見つけましたが、『HTML』の記載がなかったので書類選考で落としました
『作るもの・作る人・作り方から学ぶ採用・人事採用者のためのITエンジニアリングの基本がわかる本』(Kindle P.4)翔泳社
冒頭でもお伝えしましたが、倍率が高い求人ほど、書類選考を人事担当者が機械的に行っている可能性が高まります。なぜなら、倍率200〜300倍ともなるとすべての書類を情報システム部門がチェックすることが困難だからです。
人事部門は情報システム部門から聞き出した「中途採用したい人材の要件」に沿って書類選考をしますがIT用語には詳しくありません。その結果、上記のような問題が起きるんです。
対策
技術的な手段の話は後回しにして、さきに「できること」を伝えるようにしましょう。
× 悪い例
HTML/CSS/JavaScriptを使った開発を3年間経験し、営業支援システムの設計・開発を担当しました。
○ 良い例
営業支援システムの画面デザインや機能設計、開発を担当し、顧客との仕様検討、設計書作成、開発ができます。(技術要素:HTML/CSS/JavaScript)
「顧客と話せるフロントエンドエンジニアを採用してほしい」というニーズを聞いた人事部門の採用担当者は前者の「設計」という曖昧な言葉だと「プログラムの設計書のことかな?顧客と話せるのかな?」と考えます。一方、後者の「顧客との仕様検討」の方が書類通過率は高いでしょう。
このように、採用担当者が技術用語や開発工程用語を正確に理解していないケースを想定し、誰が聞いても同じように理解できる言葉で「提供できる価値」を伝える方が通過率がアップします。
ポイント② 「開発経験5年以上」のウラにある意図を確認する
5年以上の経験があればきっとできるはずだと思っている「フロントエンドの設計」や「最新のフレームワークの利用経験」といった要件に分解される
『作るもの・作る人・作り方から学ぶ採用・人事採用者のためのITエンジニアリングの基本がわかる本』(Kindle P.223)翔泳社
問題の本質は、募集側(志望企業側)も「実務経験5年以上」のスキルセットを明確に定義できていない点にあります。具体的にどのような役割、どのようなスキルが必要なのかが曖昧な状態と言えます。
対策
そのため「実務経験5年以上」という言葉をうのみにする必要はありません。募集要件に記載された「求めるスキル」「求める人材像」といった項目から「こういったスキル/経験を求めているはずだ」と仮設を立てて、それに沿って職務経歴書を作成しましょう。
面接までたどりつけたら、ぜひ「実務経験5年以上というのは、具体的にどのような役割/スキルを期待されていますか?」と逆質問し、該当するスキル/経験があればアピールしましょう。
「実務経験5年以上」をMust要件にしている場合、それ以下だとダメですか?
そんなことはありません
本質的には経験年数はまったく関係ありません。詐称するとリファレンスチェックでトラブルになる場合があるためおすすめしません。わたしなら「○○を3年間経験しましたが、5年以上経験した同僚エンジニアと同じ単価で顧客から契約をいただいています」という風に間接的に同じ価値があると伝えます。
ポイント③ 採用を通じて解決したい問題に答える
あらゆる採用のゴールは「採用すること」ではなく、採用を通じて「組織課題を解決する」ことです
『作るもの・作る人・作り方から学ぶ採用・人事採用者のためのITエンジニアリングの基本がわかる本』(Kindle P.207)翔泳社
求められるスキルにばかり着目してしまい、いかにそれにマッチさせようかと考えていませんか?
本来、志望企業側は採用を通じて解決したい課題があります。その課題に情報システム部門が気づいていないケースもあります。例えば、急成長企業の場合、情シスは「人手が足りないからとにかく即戦力を!」と考えますが、人事部門は「企業の成長に採用が追いつかない。アウトソーシングしてそのコントロールができる人材も入れるべきだ」と考えているかもしれません。
そのためには、求職者自身が「志望企業側の抱える課題」「採用の目的」を推察する必要があります。
対策
ミクロ視点であれば、志望企業の課題や採用の目的は求人情報から推察できます。直接的に「解決したい課題」という項目がある場合もあります。
一方、マクロ視点の課題が求人情報に書かれているケースは少ないでしょう。この場合、上場企業なら有価証券報告書を読み込むことをおすすめします。有価証券報告書は企業の公式Webサイトに掲載されており、事業内容や外部環境、経営課題などが書かれています。そこから企業が抱える課題を把握し、その課題と求人情報から採用の目的を推察してみましょう。
もちろん空振りに終わることもあります。それでも大きなメリットがあります。35歳以上のみなさんは企業分析せずに面接に臨むと、「いい歳なのに会社の置かれた経営状況に興味が薄いのか」と評価されてしまうリスクがあります。そのためにも有価証券報告書は避けては通れない道なのです。それであれば、書類選考の段階で事前に読んでおき、採用のウラにある解決したい課題を探っておいて損はありませんよね。
情シスの採用担当の視点から補足
人事部門による書類選考を通過すると、情報システム部門の選考に移ります。(もちろん、いきなり情報システム部門の選考という場合もあります)
このとき、手元の職務経歴書が完全に人事部門向け(=技術的な記載がない)だと、面接のしようがありません。「結局この人、何ができるの?」と評価されてしまいます。そのためには人事部門にも情報システム部門にも読みやすい職務経歴書を書くようにしましょう。
具体的には職務経歴書は「どんな価値を提供できるか」から「どのような手段で」を段階的に詳細化しながら書くことをおすすめします。
ポイント①でも解説したとおり「できること」をさきに書き、続けて技術的要素を書きましょう。なぜなら、100名の応募があれば、人事部門は100名分の職務経歴書をチェックし、情報システム部門は通過した20〜30名分を見るからです。1名あたりのチェックに避ける時間が短い人事部門向けに「提供できる価値」を結論先出しにしておく理由がここにあります。
まとめ
「書類選考で落とされた」方は多いはずです。人気企業の社内SE募集は倍率が200〜300倍にもなるため、70〜80%が書類選考で落とされるためです。
この記事では、非ITエンジニアである人事部門の採用担当者に書類で落とされてしまわないための方法について、非ITエンジニア採用担当者向けの書籍からひも解いて解説しました。
本書から学べるポイント
① 採用の第一関門は人事の採用担当者である
② しかも情シスの募集要件を正確に把握していないケースがある
③ それをひも解きながら、あなたのスキル/経験をアピールする
④ 情シスとの面接にも使える段階的に詳細化した応募書類を用意する
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