ユーザー系SIerランキング！気になるメリットや将来性を解説

SIerのなかでホワイト企業が多いユーザー系SIerですが、年収が高い企業も多数あります。

今回はおもなユーザー系SIerを調査しました。年収だけでなく、残業時間や有給休暇消化率、育児休暇取得率といったホワイト度合いもランキング形式で紹介します。

ユーザー系SIerとは？

ユーザーSIerとは？

SIerとはシステムインテグレーターの略で、システムの要件定義、設計・開発、保守までを請け負う企業を指します。

そのなかでも、商社や通信、金融などの事業会社の情報システム部門が法人として独立し、子会社化された企業をユーザー系SIerと呼びます。

代表的なユーザー系SIerには、NTTデータ、SCSK、日鉄ソリューションズなどがあります。

独立当初は、親会社の情報システムの開発・保守を請け負っていたユーザー系SIerが、徐々に親会社以外の仕事を請け負うようになってきた経緯があります。

種類	概要	企業例
メーカー系SIer	コンピュータハードウェアメーカー、あるいはその資本が入った子会社。 親会社が受注した案件のなかのシステム開発部分、システム保守部分を請け負う。	富士通 富士通エフサス NEC NECソリューションイノベータ 日立製作所 日立ソリューションズ
ユーザー系SIer	事業会社のシステム子会社。 事業会社の情報システム部門が子会社化してできたもので、親会社やグループ企業のシステム導入や開発、保守を行う。 それだけでなく、親会社以外にもシステム導入や保守のサービスを販売している（”外販”と呼ぶ）ケースが多い。	NTTデータ 伊藤忠テクノソリューションズ SCSK 三菱UFJインフォメーション・テクノロジー ニッセイ情報テクノロジー
独立系SIer	どこの資本にも強く影響されない・属さないSIer。 メーカー系でもユーザー系でもないため、当然親会社から仕事を受注することはない。一方で、「このハードで提案しないといけない」などの制約は少ない。	大塚商会 TIS ネットワンシステムズ 富士ソフト
コンサル系SIer	総合コンサルファームやいわゆる”総合研究所”と名のつく会社のシステム部隊。 システム企画や要求分析といった上流を受注したコンサルファームが、そのまま設計や実装やテストといった下流工程も担当するケースが直近10年程度は増えている。	アクセンチュア 野村総合研究所 日本総合研究所 アビームコンサルティング

業務内容

ユーザー系SIerの業務範囲はその他のSIerと変わりありません。システムの要件定義から開発、保守・運用まですべて請け負います。

ただし、内販（親会社やグループ企業の仕事）については、親会社の情報システム部門に近い業務内容を含むため、システム企画や要件定義、開発の外部委託など上流工程や管理業務に携わりやすい傾向があります。

また、ユーザー系SIerの親会社はほぼ大手企業で間違いありません。子会社化するほど情報システム部門が大きいので当然といえば当然です。

そのため、ユーザー系SIerの内販の業務は大規模なプロジェクトであることが多くなります。

一方、外販（親会社やグループと関わりのない仕事）については、他の競合企業と同様どんな仕事でもすると考えてよいでしょう。

ユーザー系SIerのメリット

メリット① 親会社が大手なら安定性が高い

ユーザー系SIerの親会社は大手企業であることが多いため、親会社やグループ企業向けのシステム導入や保守・運用の仕事が一定数あります。

そのため、経営状況は安定しやすい傾向があると言えます。

メリット② 給与が良い

ユーザー系SIerは平均年収でみると、コンサル系SIerについで4グループ中2番目に高い傾向にあります。

これは、当ブログでSIer売上高上位50社のうち、有価証券報告書を発行する上場企業のみを対象として、各社の平均年間給与を単純平均した値です。従業員数等の重み付けは行っていません。

メリット③ 上流工程に関わりやすい

ユーザー系SIerの内販の場合、親会社やグループ企業のシステム企画や要件定義に携わる機会が多いため、比較的上流工程を担当する機会に恵まれやすいと言えます。

また、親会社やグループ企業の情報システム部門の役割を果たす場合には、社内SEの立場で、エンドユーザーと関わったり、コンペを実施して外部委託するケースもあります。

メリット④ メーカー系より製品選定に幅がある

メーカー系SIerの場合、顧客の課題解決のために自社製品を中心に提案する場面が散見されます。本当はオープンに探して解決手段としてベストな製品を提案すべきですし、他社製品に関する知識が得られないというデメリットがあります。

一方、ユーザー系SIerの場合、メーカー系SIerと違って製品に縛りが少ないため、組織にノウハウや経験値があれば、他社製品でも自由に組み合わせて提案ができます。（実際にはパートナーシップなどにより、制限されるケースもありますが…）

ユーザー系SIerのデメリット

デメリット① プログラミングを経験しにくい

SIerは上流工程を経験する機会に恵まれやすい点をメリットとして説明しましたが、その裏返しとして内販部隊の場合はプログラミングの経験を積みにくい環境と言えます。

プログラミング工程よりも要件定義や設計の工程を担当する方が売上単価が高いため、会社や部署側はコーディングスキルを育成するモチベーションが低くなりがちな構図と言えます。

そのため、SIerに入社してプログラミングスキルを磨きたいというキャリアビジョンを持っている人にとってはデメリットと考えられます。

デメリット② 親会社の影響を受けやすい

ユーザー系SIerのメリットのひとつだった親会社の存在が悪影響を及ぼすリスクもあります。

例えば、親会社が大きな社会的な問題を起こし、事業が傾くようなことがあれば、その子会社であるユーザー系SIer企業の売上にも大きな影響があります。

ポイントは「外販率」です。外販率が高ければ、比較的小さな影響で済みますが、外販率が低い（＝親会社やグループ企業への依存度が高い）とその影響は大きくなります。

親会社の経営が傾けば、グループ会社の再編を行うこともあります。親会社の意向や状況によって左右されやすい点はユーザー系SIerにとって大きなリスクと考えるべきでしょう。

デメリット③ ガラスの天井がある会社も…

これは企業によりますが、社長や役員、本部長クラスの多くが親会社からの出向というケースもあります。（大手SIerはその傾向が薄い）

もしも入社して、その会社で上を目指したいという方の場合、役員の経歴を公式WEBサイトやLinkedIn、Openworkのクチコミで調べておくことをおすすめします。

ランキング

年収ランキング

抽出方法
・有価証券報告書の「年間平均給与」「平均年齢」を抽出
・非上場企業は公式WEBまたはマイナビ等の採用ページから抽出
・いずれも該当しない場合はOpenWorkから平均年収を抽出

順位	会社名	平均年収	平均年齢
	株式会社電通総研	1,133万円	40.6歳
	伊藤忠テクノソリューションズ株式会社	1,028万円	40.7歳
	株式会社NTTデータ	905万円	39.9歳
	日鉄ソリューションズ株式会社	886万円	39.9歳
	インフォコム株式会社	778万円	45.8歳
6	JFEシステムズ株式会社	777万円	44.6歳
7	SCSK株式会社	764万円	43.5歳
8	SBテクノロジー株式会社	755万円	38.3歳
9	豊田通商システムズ株式会社	752万円	39.2歳
10	株式会社セゾンテクノロジー	742万円	43.0歳
11	株式会社YE DIGITAL	710万円	41.8歳
12	日興システムソリューションズ株式会社	700万円	42.3歳
13	三菱UFJインフォメーション・テクノロジー株式会社	698万円	39.9歳
14	株式会社さくらケーシーエス	679万円	44.8歳
15	株式会社JSOL	671万円	43.8歳
16	株式会社オージス総研	659万円	43.7歳
17	NTTアドバンステクノロジ株式会社	656万円	不明
18	パナソニックコネクト株式会社	639万円	41.8歳
19	NTTコムウェア株式会社	613万円	44.4歳
20	京セラコミュニケーションシステム株式会社	611万円	39.9歳

売上高ランキング

抽出方法
・有価証券報告書または決算公告の「売上高」「営業利益」を抽出
・コングロマリット企業はIT関連事業分のみ抽出

順位	会社名	売上高	営業利益率
	株式会社NTTデータ	4兆3673億円	7.1%
	パナソニックコネクト株式会社	1兆1257億円	1.9%
	ダイワボウ情報システム株式会社	8199億円	2.8%
	伊藤忠テクノソリューションズ株式会社	4887億円	6.0%
	SCSK株式会社	4803億円	11.9%
6	日鉄ソリューションズ株式会社	2916億円	9.0%
7	NTTコムウェア株式会社	2446億円	4.8%
8	株式会社電通総研	1426億円	14.7%
9	キヤノンITソリューションズ株式会社	1269億円	11.0%
10	京セラコミュニケーションシステム株式会社	1224億円	7.7%
11	三菱UFJインフォメーション・テクノロジー株式会社	1053億円	1.1%
12	インフォコム株式会社	844億円	11.5%
13	ニッセイ情報テクノロジー株式会社	790億円	2.7%
14	NTTアドバンステクノロジ株式会社	723億円	4.6%
15	SBテクノロジー株式会社	657億円	8.5%
16	JFEシステムズ株式会社	620億円	11.9%
17	株式会社中電シーティーアイ	569億円	6.0%
18	株式会社JSOL	529億円	13.0%
19	コベルコシステム株式会社	516億円	12.4%
20	日本情報通信株式会社	490億円	5.5%

残業時間ランキング

抽出方法
OpenWorkの「残業時間」を抽出

順位	会社名	残業時間
	ダイワボウ情報システム株式会社	12.2時間
	NTTアドバンステクノロジ株式会社	18.0時間
	NTTコムウェア株式会社	20.1時間
	キヤノンITソリューションズ株式会社	20.4時間
	株式会社さくらケーシーエス	21.6時間
6	株式会社オージス総研	22.3時間
7	SCSK株式会社	23.4時間
8	株式会社セゾンテクノロジー	23.5時間
9	JFEシステムズ株式会社	24.1時間
9	パナソニックコネクト株式会社	24.1時間
11	SBテクノロジー株式会社	24.6時間
12	三井E＆Sシステム技研株式会社	25.2時間
13	京セラコミュニケーションシステム株式会社	25.3時間
14	インフォコム株式会社	25.9時間
15	日本情報通信株式会社	26.0時間
16	スミセイ情報システム株式会社	26.6時間
17	株式会社YE DIGITAL	27.0時間
18	コベルコシステム株式会社	27.1時間
19	株式会社JSOL	27.7時間
20	豊田通商システムズ株式会社	29.7時間

有給休暇消化率ランキング

抽出方法
OpenWorkの「有給休暇消化率」を抽出

順位	会社名	有給消化率
	NTTコムウェア株式会社	95.0%
	SCSK株式会社	88.0%
	NTTアドバンステクノロジ株式会社	85.1%
	株式会社NTTデータ	84.7%
	日本情報通信株式会社	79.6%
6	スミセイ情報システム株式会社	76.5%
7	株式会社JSOL	74.1%
8	日興システムソリューションズ株式会社	73.7%
9	三菱UFJインフォメーション・テクノロジー株式会社	73.6%
10	株式会社セゾンテクノロジー	73.4%
11	JFEシステムズ株式会社	71.5%
12	株式会社中電シーティーアイ	69.7%
13	株式会社さくらケーシーエス	68.7%
14	株式会社YE DIGITAL	68.7%
15	日鉄ソリューションズ株式会社	68.6%
16	キヤノンITソリューションズ株式会社	67.5%
17	パナソニックコネクト株式会社	67.2%
18	京セラコミュニケーションシステム株式会社	66.9%
19	豊田通商システムズ株式会社	66.5%
20	ダイワボウ情報システム株式会社	66.4%

育児休暇取得率ランキング

抽出方法
厚生労働省の『しょくばらぼ』の「男性育児休暇取得率」を抽出

順位	会社名	育児休暇取得率（男性）
	JFEシステムズ株式会社	100.0%
	株式会社中電シーティーアイ
	日鉄ソリューションズ株式会社	97.2%
	三菱UFJインフォメーション・テクノロジー株式会社	95.3%
	SCSK株式会社	93.8%
	株式会社さくらケーシーエス
7	パナソニックコネクト株式会社	92.0%
8	ニッセイ情報テクノロジー株式会社	84.2%
9	NTTアドバンステクノロジ株式会社	76.0%
10	伊藤忠テクノソリューションズ株式会社	73.0%
11	キヤノンITソリューションズ株式会社	66.0%
12	NTTコムウェア株式会社	62.6%
13	京セラコミュニケーションシステム株式会社	62.3%
14	SBテクノロジー株式会社	61.5%
15	株式会社NTTデータ	60.3%
16	株式会社電通総研	58.1%
17	株式会社オージス総研	50.0%
18	日本情報通信株式会社	45.5%
19	インフォコム株式会社	42.9%
20	ダイワボウ情報システム株式会社	31.4%

ホワイトランキング

抽出方法
OpenWorkの「待遇面の満足度」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「人事評価の適正感」を合算。残業時間と有給休暇消化率を加味してスコアを算出

順位	会社名	ホワイトスコア
	豊田通商システムズ株式会社	32.2
	株式会社JSOL	30.9
	NTTコムウェア株式会社	30.8
	NTTアドバンステクノロジ株式会社	30.3
	スミセイ情報システム株式会社	29.9
6	SCSK株式会社	29.4
7	ダイワボウ情報システム株式会社	29.3
8	日本情報通信株式会社	29.0
9	株式会社NTTデータ	28.5
10	インフォコム株式会社	28.2
11	パナソニックコネクト株式会社	28.1
12	株式会社電通総研	28.1
13	コベルコシステム株式会社	28.0
14	JFEシステムズ株式会社	27.8
15	SBテクノロジー株式会社	27.7
16	日興システムソリューションズ株式会社	27.4
17	日鉄ソリューションズ株式会社	27.1
18	伊藤忠テクノソリューションズ株式会社	26.9
19	京セラコミュニケーションシステム株式会社	26.5
20	株式会社セゾンテクノロジー	26.1

まとめ

より良い待遇で交渉してくれる転職エージェントを利用しない手はありません。SIerに10年以上勤務した経験から『レバテックキャリア』『マイナビITエージェント』に登録しておけば間違いありません。